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《MotoGPテスト開始》そもそも何をテスト? 今と昔の違いは? 走りたがりのノリック&ニッキー、世界を股にかけた大治郎 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2023/02/18 17:00

《MotoGPテスト開始》そもそも何をテスト? 今と昔の違いは? 走りたがりのノリック&ニッキー、世界を股にかけた大治郎<Number Web> photograph by Satoshi Endo

今シーズンを占うテストで好調なドカティ勢において、昨年の王者バニャイアも順調にメニューをこなしていた

 ぼくはMotoGPの取材を初めて今年で34年目を迎える。振り返って見れば、1990年代はメーカーごとに極秘テストをするのがあたりまえで、取材そのものが難しかった。特別に許可されたとしてもピットへは入場禁止という条件付きだったから、開幕戦ではどんなバイクが登場するのか楽しみだった。

世界を股にかけてテストが行われた時代

 そんな時代からいまに至るまでエンジン、タイヤなどの規定がどんどん変更され、テスト風景も時代とともに変わってきた。これまでの経験でもっとも思い出に残っているのは、大ちゃんこと加藤大治郎が2001年に250ccのタイトルを獲得し、500ccに乗ることが決まったオフのことだ。

 大ちゃんはツインリンクもてぎに始まり、スペイン・ヘレス、バルセロナのカタルーニャ、そこからオーストラリアのフィリップアイランドで次々にテスト。クリスマス正月休みを経て、年明けはマレーシア・セパン、ポルトガル・エストリル、スペイン・バレンシアを渡り歩き、仕上げに開幕戦の舞台となる鈴鹿でテストを行った。大ちゃん1人でもこれだけのテストがあり、さらにノリック、中野真矢、芳賀紀行が走るヤマハのテストがスペインを中心に行われ、まさに世界を股にかける時代だった。

 いまでは開幕までの公式テストが2回5日間だけ。1年をかけてつくりあげてきたニューマシンが不調なときは軌道修正が大変だし、シーズン中に制限なく投入できるニューパーツは車体関係だけ。だから、テストにおけるメーカーの緊張感は現在の方が断然高い。

 開発の失敗が許されない初テストで、各メーカーはどんな成果を得たのだろうか。3月11、12日のポルトガルでのテストが終われば、その2週間後には開幕を迎える。今季の5メーカーの戦いに注目したい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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