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節税対策不発で追徴金180億円でもライダー史上最高に稼いだロッシに比べ、マルケスや日本人選手の年収はどれくらい?
posted2023/02/23 11:04
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
モータースポーツの世界でも「金」の話がイチバン盛り上がる。ライダーたちは果たしていくら稼いでいるのか? 興味津々なのはレースファンに限らず、ライダーたちと話していても、あの選手はいくらもらっているのだろう? と会話が弾むことになる。
そうした金にまつわる話でもっとも話題を振りまいたのが、一昨年(2021年)を最後に引退したバレンティーノ・ロッシであり、とりわけ2007年8月に起きた「ロッシ、追徴金180億円」という事件は、大きな話題になった。
この事件は、ロッシがホンダで500ccクラスに参戦した2000年から、ヤマハに移籍した2004年までの5年間に稼いだ6000万ユーロ(当時の換算で96億6000万円)を申告しなかった疑いでイタリアの国税当局から調査を受け、検察も捜査を開始したというもの。イタリアの国税当局は、税金と罰金、利息も含めて180億円を超える金額を請求し、もし有罪になれば、1~3年は刑務所に入ることになるとイタリアのANSA通信などが伝えたものだった。
この頃のロッシは外国の法人に優遇税制を実施していたイギリスに会社を置いていたが、イタリアの国税当局はイギリスに会社設立後もイタリアをベースに活動していたとし、「脱税」と判断した。スーパースターのロッシの脱税疑惑は金額もスーパーであり、大きな話題になった。
ロッシはその後、2001~04年分について1900万ユーロ(当時の金額で約29億5000万円)、2005~06年分も含めて3500万ユーロ(約54億3000万円)を支払い、以後、イタリアで納税することで決着。このときにロッシは「すべてがクリアになった。これで仕事に集中できる」とコメントしたが、ここでもその金額の大きさに驚いたものだった。
当時、ロッシはこの事件が起きたときのことをこう語っていた。
「ある日の朝、税務署の人間がイタリアの自宅を訪れてきて、一枚の紙を僕に渡した。そこには途方もない金額が書かれていて驚いた」
それが当初話題となった180億円の追徴課税で、いくら大金を稼いでいるロッシとはいえ、この金額には腰を抜かしたのではないだろうか。
マルケスの収入は推測のみで非公開
スーパースターだけにロッシは巨額の話題に事欠かないし、実際ロッシほど稼いだライダーはいない。ロッシに続く高所得者であるマルク・マルケスも相当稼いでいるが、はっきりとした数字は出てこない。ホンダは伝統的に出来高払いと言われており、例えばベースが1000万ユーロ(約14億3000万円)なら、シーズンが終わりチャンピオンを獲得した場合、賞金なども含め倍の2000万ユーロ(約28億6000万円)になると言われている。