2022年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
「2年前のM-1(9位)は悪夢でした」ウエストランドが明かす、松本人志の“ひと言”に救われた話「松本さんに嫌いやわ…って言われなかった」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byYuki Suenaga
posted2023/02/19 11:03
ウエストランドの井口浩之(左)と河本太。2020年大会に続き、2度目のM-1決勝で王者に
――初出場したとき、審査員の松本人志さんに「刺さる言葉があっていいんですけど、もっと刺して欲しかった」と注文をつけられ、今回は「ちゃんと来てくれたと思うよ」と褒めてもらって。2年越しで会話の続きを聞いているようでしたね。
井口 気を遣って言ってくれたのかもしれませんけど「もっと刺して欲しかった」というのを真に受けてやれたんで。それはよかったですね。「これ、嫌いやわ」とか、「こんなんもうダメやわ」とかじゃなかったので。
――最終決戦はトップバッターだったので、1本目のラスト出番から間を空けず連続して舞台に立つことになりました。慌ただしかったのではないですか。
河本 緊張する暇がなくて、よかったですね。僕に関して言えば。
井口 ネタ合わせしてなかったんで、そのぶん、アドリブで自由にできたのがよかったですね。冒頭も「どうも。ウエストランドです」と言わず、「改めまして、ウエストランドです」と。ほぼ同じテイストのネタだったので、前からの続きで、4分と4分で合わせて8分の漫才をやったようなものと言われましたけど、それもよかったんでしょうね。
――「あるなしクイズ」がどういうものかという説明も、2本目のときは、もうしていなかったですもんね。そのぶん、すぐにエンジンがかかった印象がありました。
井口 そこも省けてよかったんですよね。
――2本目は、井口さんの口の動きを見ていて、少し酔いそうになってしまいました。関東の言葉って、関西弁に比べると、ちょっと引っかかりやすい言語だと思うんですけど、よくこんなに早口でしゃべって噛まないな、と。最後、審査員の松本さんも「こんな窮屈な時代でもテクニックとキャラクターさえあれば毒舌漫才でも受け入れられることに夢がある」と話していました。確かに、このしゃべりの技術があるからこそ成立しているんだなと思いました。
河本 ほんと、よく噛まないですよね。自分の言葉というか、自分の思いを正直に言っているからなんでしょうけど。
井口 でも、それを言ってくれたの、松本さんぐらいなんですよ。『Number Web』の読者だって、誰もそんなこと思ってないでしょ? ただの悪口だぐらいにしか思われてない。こんなの誰でもできる、って。
<続く>
(写真=末永裕樹)