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[8番に与えられた才と葛藤]柿谷曜一朗「天才だとか、知らんがな」
posted2023/02/16 09:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Sugiyama
「天才じゃなくて天才風」。小野が“認めた”男は、自らをこう位置付ける。では、彼にとって真の天才とは。33歳になった背番号8が今明かす、サッカーにおける才能、そして“天才”の呼び名が生んだ蹉跌について――。
小野伸二に並ぶ日本人の天才プレーヤーとして柿谷曜一朗を推すサッカーファンは少なくないだろう。
なにせ、小野自身が柿谷の名前を挙げているくらいなのだ。
磁石でも仕込んでいるかのように足にボールが吸い付き、常人には想像もつかないアイデアあふれるプレーで観る者をワクワクさせてきた。
ところが、小野と柿谷を並列で語ることに異を唱える者がいる。
他でもない、柿谷自身である。
「なにをもって天才と言うかは人それぞれやと思うんですけど、僕の中ではサッカーのうまさが突出している選手、サッカーのスキルが群を抜いている選手っていうイメージ。その代表格が伸二さんであり、イニエスタ。彼らはプレーしてるときの華みたいなもの、オーラが他の人より大きいですよね。別格やなって思います」
他に柿谷が天才として名前を挙げたのは、川崎の大島僚太、清水の乾貴士、C大阪の清武弘嗣、そして、先日12年半ぶりのJリーグ復帰が発表されたC大阪の香川真司――いずれも、日本を代表する技術の達人たちである。
では、柿谷は自分自身をどうカテゴライズしているのか。
決して技術がないようには見えないが、口から出たのは意外な言葉だった。
「僕は運動能力型やと思います。サッカーがうまいんじゃなく、うまく見せられるように反応できる運動能力があって、そっちに頼りがち。まあ、うまくごまかしてるんですよ。天才じゃなくて天才風。だから清武とか、乾くんとか、見てて羨ましかったですもん。サッカーがうまいから」