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「引退という言葉が見えてくる…」プロ13年目のベテラン秋山翔吾が目の色を変えて追求する“課題”とは? 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2023/02/13 06:00

「引退という言葉が見えてくる…」プロ13年目のベテラン秋山翔吾が目の色を変えて追求する“課題”とは?<Number Web> photograph by KYODO

プロ13年目のベテランながら、秋山はもう一度日本の野球にアジャストすべく練習に取り組んでいる

「(西川)龍馬と野間(峻祥)がいるので、僕は今、三番手。3つしかない外野の中で、誰が最初に食われんのか? と。自分で(移籍先に)カープを選んで、自分の首を絞めているとも言えるかもしれないけど、ここで折れるようなら、どこのチームにいても終わってしまう」

 プロ13年目も、初の広島キャンプには、強い危機感を胸に臨んでいる。キャンプ3日目には、投手を相手にしたフリー打撃に志願して参加。開幕ローテーション候補の遠藤淳志と対戦し、11スイングで安打性の当たりは2本だった。今年初めて投手を相手にした打席で感じた違和感は、直後のローテーション打撃でも拭い切れず、自ら特打を課した。

 5日間あるクール中日で早めに全体練習が打ち上げられた中、ひとりティー打撃を行う秋山のもとには新井監督も訪れ、助言だけでなく身ぶり手ぶりで指導を行った。

「自分では(投手側に上体が)行っている感じなんだけど、思ったよりそんなに行っていないから大丈夫だよと。打ちにいく動作の許容範囲内だから崩れる心配もないし、(スイングの)スイッチも入らないと。かなりポジティブに、なるほどなと。きっかけはもらったと思います」

 主観と客観をすりあわせることで新打法完成までの現在地を確認することができた。最初からうまくいくとは思っていない。実戦に近い打撃で生じる意識や感覚のズレは想定内。むしろ、そのギャップを探るために志願して打席に立ったとも言える。

「実戦をやった上で練習した方が気づきがある。投手を相手にして距離感や相手の表情を見たり、力みが出たり。僕の場合、数をやらないと身につきづらいので、時間はかけないといけないと思う」

 初日からほぼ同じメニューを与えられた菊池涼介がまだ投手を相手にした打撃を行っていない中、すでにシート打撃に紅白戦と実戦打席に数多く立っている。実戦と自分と向き合う練習を重ねることで、新打法の完成度を高めていく。

熾烈な競争の先にあるもの

 新井監督はすべてのポジションが「競争」と明言している。ポジションが決まっているのは、抑えの栗林良吏くらいだ。広島の外野は西川と野間のほか、右の堂林翔太や末包昇大、キャンプ序盤にアピールした大盛穂や合同自主トレをともにした宇草孔基ら、レギュラーに割って入ろうとする若手もいる。能力が同じであればきっと、若い選手が起用される。実績や経験にあぐらをかいて、ポジションを守れるほど甘い世界ではない。

「どんな選手にも勝っていかないと、試合に出られない。若いからとか、ベテランだからとかじゃない。チームを引っ張るということが求められているかもしれないけど、そこに立つだけの成績とコンディションを保たないといけない。勝利の輪のなかにいなかったら、シーズン後にはたぶん“引退”という言葉が見えてくる。競争に勝つということは、自分の野球人生を延ばばすことにもなる」

 ポジションを奪い取り、死守するだけではない。新しい秋山翔吾をつくっていく——。そんな1年を走り切った先にはきっと、見たことのない光景が広がっているに違いない。

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