サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「久保建英が鼻歌を歌いながら…」現地で記者が目撃した“チーム最年少・久保の素顔”…クロアチア戦後に語っていた「押し通すくらいの『個』」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/23 11:05
最年少ながら、W杯でも存在感を見せた久保建英
「人は3カ月もあれば変わる」
ここで久保が口にしたのは「自分がどんな立ち位置かというのを教えられた気がした。(序列の低下は)認めざるを得ない。でも人は3カ月もあれば変わる」という言葉。現実を受け入れつつ、持ち前の負けん気を前面に出す姿には強い覚悟が見えた。
次に向かったソシエダでは、シーズン開幕直後からレギュラーポジションを獲得し、上昇気流に乗った。好調をひっさげて参加した9月の日本代表ドイツ遠征では、4-2-3-1に戻した中で先発し、起死回生の輝きを見せた。
それでもまだ先発のファーストチョイスにやっと手を掛けたという状況ではあったが、ソシエダに戻ってからの約1カ月間でさらに階段を駆け上がっていった。11月1日の代表メンバー発表時には「ラ・リーガ3位のチームでレギュラーで試合に出る選手が代表に選ばれないということは、まずないだろうと、ある意味で楽観視はできていた」と胸を張っていた。
現地で記者が見た“久保の鼻歌”が印象的だった
11月17日の国際親善試合カナダ戦。本大会前最後となる強化試合の前日、公式練習後のミックスゾーンに現れた久保は、記者陣に呼び止められるまで「フンフン」と軽快にリズムを取り、鼻歌を歌いながら歩いていた。試合前日はセットプレーの練習をすることが多く、選手たちもそこで先発メンバーが誰なのかが分かることが多い。鼻歌を歌いながらミックスゾーンにやってきたところを見ると久保は先発なのだろうと冷静に想像しつつ、正直、驚いた。ミックスゾーンで鼻歌を歌う選手をかつて見たことはなかった。
チーム内の風通しが良いのだろうということ、そしてもちろんリラックスしている状態だというのは間違いなかった。
記者陣に呼び止められた久保はカナダ戦に向けて「仮想ドイツとして、攻撃、守備の自分の立ち位置を個人的には確認しておきたい」と、先発を意識する内容のコメントをしていた。
翌日の試合で先発した久保は、攻守にわたって組織的なカナダを相手に苦戦を強いられる中で数少ないチャンスを演出した。テクニカルなボール扱いでスタンドを沸かせる場面もあった。