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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
〈清原和博の次男も在籍〉慶應義塾高は勉強も野球も「特別扱いなし」…森林監督が語る「難しいけど、それがかっこいいぞ」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2022/12/24 06:00
慶應義塾高校の森林監督
ヤクルトの木澤尚文はチーム勝ち頭タイの9勝を挙げ、日本シリーズでも中継ぎ投手としていい働きをした。またソフトバンクの正木智也も一軍で3本塁打を打つなど頭角を現している。筆者は彼らのプレーを見るたびに森林監督の姿を思い浮かべたほどだ。
「木澤は考える力がすごかった。考えすぎなぐらいで、何か自分で探究しながらずっと練習しているような選手でした。高校時代からうまくいけばプロに行くのかなとは思っていましたが、3年のときに肘を痛めて夏の大会は120キロぐらいしか投げられなかった。それでも大学で復活してエースになり、プロに行ったのは本当に素晴らしいと思っています。
1学年下の正木は1人でコツコツ努力するタイプです。うちには学生コーチがいるんですが、学生コーチと夜も残ってティーバッティングをやっていました。自分の打ち方をとことん追求するタイプで、私でも軽々しく声がかけられない感じでした。2人とも監督やコーチがいる、いないは関係なく、自分がうまくなりたいから練習していた印象です」
「大人と普通に会話できるようになろう」
日吉のグラウンドで、筆者は選手たちに声をかけることがあるが、慶應義塾の選手の対応は他校の選手と少し違っている。一般的に、高校生が大人に接するときには少し上目遣いになったり、気が引けた表情をすることが多いのだが、慶応義塾の選手はいつも自然体で、にこやかに対応してくれる。大人びた印象もある。
「大人びて見えるのは、丸刈りではなく、髪が長いこともあるかもしれませんね。
私は選手に『大人と普通に会話できるようになろう』と言っています。練習試合などで相手チームの監督と手洗いでばったり出会ったら、無言はだめだよ、挨拶だけってのもだめ、『今日は遠征に来てくださってありがとうございます。今日は何時に出てこられたんですか?』くらいは言おう、と言っています。そう感じてくれたのなら、それが一番の褒め言葉かもしれません」
来春の甲子園で、慶応義塾高校はのびやかな活躍をしてくれるだろう。そんな期待を抱かせた。
<#2につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。