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〈清原和博の次男も在籍〉慶應義塾高は勉強も野球も「特別扱いなし」…森林監督が語る「難しいけど、それがかっこいいぞ」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2022/12/24 06:00

〈清原和博の次男も在籍〉慶應義塾高は勉強も野球も「特別扱いなし」…森林監督が語る「難しいけど、それがかっこいいぞ」<Number Web> photograph by Kou Hiroo

慶應義塾高校の森林監督

「入学してからも特待生で学費免除みたいな制度はありません。正直に言えば経済的なハードルもあります。また他校には『文武別道』みたいなコース分けがありますが、慶應義塾の場合、一般クラスしかありません。全部一般の18クラスです。

 当然、勉強でもテストの点数に下駄をはかせるなど、特別扱いはしません。仮に下駄をはかせて進級させたとしても、結局上の学年で立ち行かなくなってしまいます。入り口の段階で生徒の資質をしっかり見るしかないんですね」

“野球も勉強も両方頑張った子”が入ることで多様性が

 なお推薦で入学する野球部員は1学年で7~8人、多い年で10人程度である。

「野球部員は1学年35~40人くらいで、推薦は2~3割程度です。一般入試を突破して入ってくるのが3割程度、中学から上がってくる内部進学組が4割という感じです。

 レギュラーになるのは大半が推薦枠で入った選手です。当然ながら、中学時代に全国大会に出たなどハードルを越えてきた推薦枠の選手が、レギュラーになる確率は高いです。ただ、一般入試や内部進学でレギュラーになる子もいます。今夏の3年生で背番号1をつけたのは内部進学で上がってきた子ですし、4年前の夏の甲子園で8、9番を付けた子も内部進学でした。 いろんなルートで入ってきた選手がミックスされているのが、うちの学校の良さかなと思います。

 推薦制度の導入で、野球部は活性化されました。だけどこの制度の基準がもっと甘くて、勉強しないで野球ばかりしている子、授業態度が悪い子でも入学できていたら、この制度は終わっていたと思います。“学力で頑張ってきた子”だけでは均質化してしまいますが、“野球も勉強も両方頑張った子”が入ることで多様性が生まれているのだと思います」

2つのことを追い求めよう。難しいけど、かっこいい

 前述した通り、「野球も勉強も」の姿勢は入学してからも変わらない。一般の生徒と同様、学業成績も求められるのだ。

「高校時代になにか1つだけのものに打ち込むのも1つのやり方でしょうが、慶應義塾では両方をやる。『文武両道』は言い古された言葉ですが、野球も頑張るけど勉強も手を抜かないことが求められます。選手には“こっちを頑張っているから、そっちはできない”と言い訳をするのではなく“2つのことを追い求めよう。難しいけど、それがかっこいいんだぞ”と話しています」

 森林監督や赤松衡樹野球部長は学業にも目を配っている。2人のもとには、クラスの担任から「この選手の勉強がちょっと危険ゾーンです」みたいな連絡が入ることがあるという。

【次ページ】 “自分が成長するには、どう練習したらいいか”

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