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三笘薫は“先発orジョーカー?”「あの感覚は別格」J1川崎・鬼木監督も悩んだ起用法「考え方をステップアップさせてくれた選手」 

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林遼平

林遼平Ryohei Hayashi

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/11/22 17:01

三笘薫は“先発orジョーカー?”「あの感覚は別格」J1川崎・鬼木監督も悩んだ起用法「考え方をステップアップさせてくれた選手」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

日本代表の命運を握っている三笘薫(25歳)。J1川崎・鬼木監督もW杯での活躍に期待を寄せた

――ハードワークというところにも関連しますが、日本代表でも三笘選手を先発で起用するのか、ジョーカー的な役割にするのか、議論されています。鬼木監督は起用法にはどんな思いがありますか?

鬼木 川崎時代もスタメンにどう組み込んでいくかはいろいろ考えましたけど、まずはある程度のタフさが必要だなと思っていました。それで言えば、2020年のアウエー連戦のことをよく覚えています。中2日で名古屋から神戸へ移動するスケジュールのとき、メディカルチームは負傷した薫を先に帰そうという話で進んでいたのですが、ちょっと本人と話をさせてほしいとお願いしました。

 薫は常に“いい状態”でやりたい選手という認識が自分のなかでありました。選手なら当たり前です。ただ、痛い、痛くないならたぶん痛いだろうというのはわかった上で、できる、できないならどっちなんだと。そういう話をしたとき、本人もやってみたいという話をしてくれました。それならばチームを離れずに帯同しながらどうするか決めていこうと話し合い、結局神戸戦に出場しました。

 当時は年代別代表のスタッフの方からもタフさを指摘されていましたから、僕の中でもずっと頭に引っかかっていました。なんとかタフな選手に育ってほしいと、試行錯誤しながら接していましたね。

――むしろ、タフさが身につけば、もっとすごい選手になるだろうという思いがあったと。

鬼木 もちろんです。一緒にプレーする選手たちも「あいつはやばいよ」と認めていましたし、足りない部分も当然あったんですけど、それを超えていくものの方が多かった。

 スタメンかサブかという話で言えば、チームが勝つためのバランスを考えての起用が多かったと思います。途中から出せば、間違いなく心強い存在になりますから、試合によって話し合いながら、納得してもらいながらやっていました。能力としてはスタメンで出ることが当たり前な選手だとは思いますけど、「今日の試合に勝つ確率を考えたら今の使い方の方がいいのかな」とか、「最初から主導権を取りに行かないときつくなるゲームはスタートから行けるところまで行こう」と考えることが多かった。

 最終的には力のある選手を最初に出していくことをやっていかないといけないと思うようになり、そこからどんどん頭を切り替えていった感じはあります。

「薫はそれくらいの存在になった」

――指揮官としての考え方をステップアップさせてくれたということなんですね。

鬼木 そうですね。チームの最大の武器ですから、マイナス面を考えないで試合の頭から立たせてあげたいという思いはずっとありました。

 それに薫が控えているというだけでスタメンの選手にとっては緊張感がありますし、難しい気持ちでプレーするところもあるだろうなとも思っていて。逆に薫に代わって投入される選手も後から出ていくプレッシャーがある。薫はそれくらいの存在になったんですよ。

 薫のプレーを見たい人がどんどん増えてきた中で、監督としてはそういうものに応えながらも、競争のバランス、そしてチームの勝利と魅了することを非常に考えされられましたね。

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