三笘薫は“先発orジョーカー？”「あの感覚は別格」J1川崎・鬼木監督も悩んだ起用法「考え方をステップアップさせてくれた選手」

――ここ最近の三笘選手のパフォーマンスはどう見ていますか？　所属するプレミアリーグのブライトンでも出場機会が増えてきました。

鬼木達監督（以下、敬称略）　凄いですよね（笑）。ただ、日本にいる時からこうなるかなという感じはありましたよ。ハードワークが必要なブンデスリーガやプレミアリーグなどでは、薫のようなタイプは難しいと言われることは理解していました。でも、薫は一つ飛び抜けた選手で、他の選手にはないドリブルという圧倒的な武器をもっている。たぶん向こうに行っても（ドリブルで）抜けてしまうんだろうなと。毎日見ていた選手ですから、やっぱりあのレベルなら通用するよねと納得しました。

――今後、指導するにあたって指標になるところもありますか？

鬼木　そうですね。ただ、あのタイプはなかなか出てこないと思います。あの“感覚”は僕の中では別格です。一気に0から100を出せる選手は一定数いると思いますが、100から0に止まれる選手はなかなかいません。彼のドリブルはぐっといこうとした瞬間に、相手が先に動いてしまうので、何もしない間に花道が開いている。それでいて、ドリブルを仕掛けながらもう一人先の選手が見えていたりするので、本当にすごいですよ（笑）。

ブライトンで出場機会を増やしている三笘　©︎Getty Images

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「ステップアップさせてくれた選手」

――川崎時代の印象はいかがですか？

鬼木　個人的な感覚では、割と早くベンチに入れた方だったかなと。今までの流れだと、薫のようなタイプは守備が軽い選手という認識で、そこだけを考えると今までの自分だったらサブですら難しいと考えていました。

　ただ、薫とトレーニングを続けていく中で、「一つ抜きん出る武器があるのに、できないものだけをとって起用しないのは違うのかな」と自問自答するところがありました。周りからは、もうちょっとハードワークしないといけないのではないかという意見も多少なりともありましたが、プロとして観客を魅了できる、価値を見出せる選手だったので使っていこうと思わせてくれた。だから、自分の指導者としての考え方をステップアップさせてくれた選手、柔軟にさせてくれた選手という思いがあります。

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