核心にシュートを!BACK NUMBER

「僕は22歳でアルテタ監督に出会って驚いた」冨安健洋が後輩に教えた、アーセナルの“超最先端な練習法”「日本では教わらなかったこと」 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

PROFILE

photograph byStuart MacFarlane/Getty Images

posted2022/11/23 11:25

「僕は22歳でアルテタ監督に出会って驚いた」冨安健洋が後輩に教えた、アーセナルの“超最先端な練習法”「日本では教わらなかったこと」<Number Web> photograph by Stuart MacFarlane/Getty Images

冨安健洋はアーセナルで最先端サッカーをリアルタイムで会得している

 U-18の選手として指導を受けた池田獅大には、かねてから冨安に尋ねてみたいことがあった。ボランチの選手は、ビルドアップの際後方にいるチームメイトからどのようにしてボールを引き出せば良いのかについてだ。

「そういうイメージでもらえば良いのか!」

 現在の冨安はディフェンダーとして認識されている。ただアビスパのアカデミーにいたときには「将来はセンターバックで日本代表になれるポテンシャルを持った選手だからこそ、他のポジションを経験させるべきだ」という方針からボランチを務めた時期があるし、2019年のアジアカップなど日本代表でもプレーしたことがある。

 そんなボランチとしての実戦経験が豊富な冨安からのアドバイスは、以下のようなものだったという。

「(味方のGKやCBにプレスにきている)相手チームのFWの背中を追いかけるように動いてみよう! そうすると、自分がボールを受けるスペースができる。そこで受ければ、比較的に楽に前を向いて、次のプレーにかかわることができるよ」

 池田はこう振り返る。

「『そういうイメージでもらえば良いのか!』とよくわかりましたし、考え方自体が新鮮でした」

クロス1つをとっても指導者サイドが驚いた

 さらに、指導者サイドを驚かせたこともある。

 例えば、指導方針について話し合っている中で、冨安が口にした“クロスからシュートに至るまでの考え方”がそうだった。日本でもクロスからのシュートをイメージするとき、クロスを入れる側の工夫についてはしばしば語られるし、ある程度、体系立てて考えられている。

 ただ、「クロスに合わせる側の立ち位置」や「クロスを入れた後の展開」については、どこまで想定されているだろうか。よく語られるのは、DFのマークの外し方など「個人戦術」にかかわるものがほとんどだ。

 しかし、アーセナルで指導を受けてきた冨安がもたらしたものは違った。

 強化部兼アカデミーテクニカルアドバイザーを務める藤崎義孝は、こう証言する。

「クロスに合わせる際に、どこで、どのように数的優位をつくるのか。そこまで、チームのなかでしっかり考えられているようです。具体的には、『ゴール前のこのエリアでオフェンス側が数的優位を作って、そのエリアで合わせようとすれば、仮にクロスが合わなかった場合にも、カウンターを受けにくい』ということまで計算されている、と。

 つまり、点を獲りにいきながらも、相手にカウンターを受けるリスクをどのように減らせるのかまで論理的に考え、説明されるということでした」

 チャンスとリスクの両方を、クロスを上げる側とクロスに合わせる側の両者が考えて、的確なポジションを取る。それがアルテタ流だという。

【次ページ】 「この練習はどうしてもやらせてもらえませんか?」

BACK 1 2 3 4 NEXT
#冨安健洋
#アビスパ福岡
#アーセナル
#ミケル・アルテタ
#池田獅大
#藤崎義孝
#壱岐友輔
#カタールW杯
#ワールドカップ

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ