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中山雄太W杯絶望などケガ人続出…森保ジャパンが“交代策で番狂わせ”するには? “ドイツの名将”から学べる「2つの要点」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto/Getty Images
posted2022/11/05 17:01
森保一監督とナーゲルスマン監督。選手交代策1つをとっても指揮官の仕事は重要となる
先制点を相手に許した状況を想定した選手交代にはトライできなかったことだ。実は、選手からは事前にこんな声も挙がっていたのだが……。
「(先制されたときに劣勢をひっくり返すためのテストは)リードされないとできない。だから、どこかで1-0で勝っていたとしても(そのための策を)試すのかもしれないし、0-0の時に試すのかもしれないし。ただ、それは監督次第ですから」
忘れてはいけないのは、「先制を許した試合で、有効な選手交代をきっかけにして同点に追いつく」という成功体験が一度もないまま、W杯メンバーの26人は決まったという事実である。
“2戦目ターンオーバー説”は実行されるのか
交代策と切っても切れない関係である、W杯本大会のスタメン選びについて言及するならば――グループリーグ第2戦でメンバーを大幅に入れ替えるターンオーバーを森保監督は目論んでいる――そんな噂がチーム内外から聞こえてくる。グループリーグ勝ち抜けの決まった国の多くは第3戦でのターンオーバーを実施するが、第2戦で大幅な入れ替えを行なうのは非常に珍しい。
その根拠となるのが、前述したエクアドル戦前日の記者会見での発言だ。
「ドイツ戦では……W杯初戦のプレッシャーや相手との力(の差)を踏まえたとき、おそらく想像以上の大きなエネルギーを使うことになります。そうなった時、疲弊している選手を入れ替える。6月シリーズのようにチームを入れ替えながら戦えるくらいに準備しないと、ベスト16以上の壁を破ってベスト8以上に行くことは難しい」
森保監督の言葉を補足すると、過去のW杯ではグループリーグの試合間隔は「中4日」ペースだったのに対して、今回は「中3日」ペースで行なわれる。だから、監督の言葉には一定の説得力はある。
ただ、今年に入ってから大幅にメンバーを入れ替えた試合を思い出すと、3月のW杯最終予選最終戦のベトナム戦、9月のエクアドル戦ともにあまり機能しなかった。加えて対戦相手の国々も、効果的な選手交代を練り上げて、対処しようとするだろう。
ただし、ナバスら擁するコスタリカも難敵である
忘れてはならないのは、コスタリカ代表は森保監督が考えた工夫を無効化するポテンシャルを秘めている国だということ。
その理由の1つ目が、ルイス・フェルナンデス・スアレス監督にある。スアレス監督は2006年にエクアドル、2014年にはホンジュラスを率いてW杯を戦っており、指揮官として3度目の大会になる。W杯におけるコンディショニングについて熟知している指揮官である。
もう1つ理由はある。
スアレス監督はコロナ禍において、大陸別の公式戦試合数が最多だった北中米予選を経て、日本が親善試合をしていた6月にはニュージーランドとの大陸間プレーオフでの死闘を勝ち抜き、今大会にたどりついた。交代5人制を“負けられない公式戦”で数多く経験してきたのだ。