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核心にシュートを!BACK NUMBER
森保一監督に“ファンがモヤモヤする正体”って何だ? 過去全試合を調べて浮かぶ「ビハインド時の交代策・少ない逆転勝ち」
posted2022/11/05 17:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
大きな課題から、目をそらすのか、向き合うのか。ロシアW杯に挑む日本代表は「おじさんジャパン」と揶揄されたとしても、課題から目を背けず、そのなかで何ができるかを模索できる集団だった。
だから、森保一監督の率いるチームが前に進むためには、決定的な課題に目を向けないといけない。森保監督の得意なこと、不得意なことを理解することで、これを解決する糸口を見つけられるかもしれない。
指揮官の長所と短所を今一度確認すると
日本代表監督として歴代最多勝利を挙げている、森保監督の長所を今一度確認しよう。
スポンサーや行政の人たちとのやり取りや折衝をいとわないこと。雨の日も、凍えそうな夜もファンに感謝を伝えようとする姿勢。メディアの取材への協力的なふるまい。代表候補選手の所属クラブでのプレー中の映像をできるかぎり多く見ようとする信念。試合分析の際、その背景にまで調査を進めるジャーナリズム精神(ある試合のパフォーマンスが悪かった時にピッチ上の現象だけに目を向けるのではなく、出場した選手に移籍が迫っていた等々の情報まで取り入れるなど)……。
一方で、短所も存在する。例えば、頭の中にあるものを概念や考え(戦術面やメンタル面も含む)として言語化し、伝えること。結果を出すための戦略立案など。
忘れてはいけないのが、試合中の修正能力である。
修正能力を具体的に言うと――相手に先制を許した試合展開での決断、交代策だ。
長年、一つのチームの戦いを追えば、「エースのおかげで勝てた」「守備陣の踏ん張りのおかげで勝てた」と評される試合と同様に、「監督の采配で勝てた」という試合が出るものだ。森保監督の手腕にモヤモヤとした不満を覚えている人は一定数いるようだが、何となく浮かんでくる不満の一部を言語化すると――おそらく以下のようなものではないか。
「森保さんはこれだけ長く指揮をとってきたのに、劣勢時に『監督のおかげで勝てた』と思える試合がない」
試合中の采配が稚拙だという印象は、正しいのか否か。森保監督下の先制された試合でのデータを、ザッケローニ監督以降の4人の監督のものと比較してみよう。この4人と比較するのは、ザッケローニ監督体制以降、海外でプレーする日本代表選手が増えて、現代表との構成に近づいていったからだ。
先制された試合の成績を見てみると
まず、森保監督のチームが「先制された試合の成績」は以下の通り。
先制された試合:13試合
成績:2勝1分10敗
先制を許した後、日本がゴールを決めた試合:5試合
交代選手が直接ゴールに絡んだ(得点かアシスト)試合:1試合
(※2019年11月19日ベネズエラ戦、0-4の状況からともに途中出場の永井謙佑のアシストで、山口蛍が決めた)