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大谷翔平らMLBで当たり前「最新データ分析開示」日本は課題あり? 「否定的なコーチや選手は減ってきましたが…」アナリストに聞く

posted2022/11/01 11:02

 
大谷翔平らMLBで当たり前「最新データ分析開示」日本は課題あり? 「否定的なコーチや選手は減ってきましたが…」アナリストに聞く<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平が、ベンチの中で打撃内容などの分析をしているシーンを目にすることも多い

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間淳

間淳Jun Aida

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Nanae Suzuki

メジャーリーグで押し進んてきた野球データ分析の進化は、日本のプロ野球だけでなくアマの世界でも徐々に浸透しているようだ。そのスペシャリストたちに「学生・日米データ分析事情の最前線」について聞いた(全2回の2回目/#1も)

 ドライブラインを超える施設に――スポーツ科学を活用してデータ解析をするベンチャー企業「ネクストベース」が千葉県市川市に、アスリート支援施設「NEXT BASE ATHELETES LAB」を開設した。データの計測・評価・トレーニングをワンストップで行える施設をつくるのは、日本の民間企業としては初めてだという。

本場シアトルを「越える施設にしたい」

 コンセプトに掲げるのは「すべてのアスリートに、サイエンスを。」である。

 施設に入ると、あちらこちらにカメラが取り付けられているのに気付く。動作解析するモーションキャプチャシステム用のカメラが、投球や打撃の動きをあらゆる角度から捉える。他にも、トラッキングシステムの「ラプソード」や1秒間に2000コマ撮影可能なハイスピードカメラ、投球の際の体重移動を計測する「フォースプレート」など、世界最高レベルの計測機器が揃う。こうした映像やデータを専門性の高いアナリストが分析し、個々の選手に合った体の動かし方やトレーニング法を提案している。

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 科学的なデータを取り入れたトレーニング施設で有名なのは、米国シアトル郊外にある「ドライブライン・ベースボール」。メジャーリーガーをはじめ、マイナーやアマチュアの選手も訪れる。

 最近では、日本のプロ野球選手もシーズンオフに渡米してトレーニングしている。ネクストベースの主任アナリスト・森本崚太氏は「日本版ドライブライン、さらにはドライブラインを超える施設にしたいと思っています」と1カ月ほど前に完成したばかりの施設の発展に意欲を見せる。

5年で進化したが“データ活用はまだまだ発展途上”

 国学院久我山のエースだった森本氏は大学でアイシングなどの生理学を勉強し、大学院では動作分析を研究した。他のスタッフも高校や大学まで野球を経験し、大学院で専門分野を学んでいる。

 森本氏がネクストベースに入社した2017年は、日本のプロ野球にトラックマンを導入する球団が増え始めた頃だった。

 トラックマンは投球や打球をレーダーで追いかけ、リリースポイントや回転数、打球の速度や角度を計測する機器。日本でも米国のように、客観的なデータをチームの強化や戦術に生かそうとする動きに変わろうとしていた。

 主に大学、社会人、プロの選手やチームを担当する森本氏は、入社してからの5年間で野球界のデータに対する見方は「劇的に変わった」と肌で感じている。感覚や精神論から脱却し、根拠に基づいた技術や知識を伝えようとする指導者、効率的なパフォーマンスアップや怪我の予防を求める選手は確実に増えているという。

 だが、森本氏はデータの活用がまだまだ発展途上だと強く感じている。

【次ページ】 極端なシフト、フライボール革命も“確率の高い手段”

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