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大谷翔平らMLBで当たり前「最新データ分析開示」日本は課題あり? 「否定的なコーチや選手は減ってきましたが…」アナリストに聞く
 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/11/01 11:02

大谷翔平らMLBで当たり前「最新データ分析開示」日本は課題あり? 「否定的なコーチや選手は減ってきましたが…」アナリストに聞く<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平が、ベンチの中で打撃内容などの分析をしているシーンを目にすることも多い

「データを否定的に受け取るコーチや選手は減ってきましたが、データの取得が目的になっているケースも多いようです。データが手元にあっても、仮にパフォーマンス向上につながらないとすれば、それはデータの活用方法に問題があるのかもしれません」

極端なシフト、フライボール革命も“確率の高い手段”

 米国ではチーム編成や選手の育成において、数字は欠かせないものとなっている。

 データによって野球の定石も変わっている。最近では日本の高校野球でも取り入れるチームが出てきたが、打者によって極端な守備体系を敷くのは、打球方向の傾向から、アウトにする最も確率が高い方法を選んでいるのだ。

 日本でも耳にする機会が増えた「フライボール革命」は、フライは長打になる確率が高くなるという考え方で、膨大なデータから打球角度や速度を数値化して選手の評価などに活用している。2015年にワールドチャンピオンになったアストロズの選手が見せたフライボール率の増加によって、一気に注目度が増したのである。

 過去には犠打や進塁打といった小技を期待されていた2番という打順に、強打者を置くチームや、ほとんど犠打をしないチームは増えた。こうした戦術はデータを分析した結果、得点を挙げる確率の高い手段を選んでいるためである。

 昨シーズンのメジャーでは、1チーム平均シーズンで25.5個しか犠打を記録していない。6.4試合に1個の計算になる。最も少ないレイズは、162試合で犠打が6個しかない。2011年はメジャー全体の平均は55.6個と、昨シーズンの2倍以上。最も少ないレッドソックスでも22個を記録している。10年間で、いかに攻撃のスタイルが変わったかを示している。

大谷の投球・打撃詳細データが伝えられる一方で

 森本氏はデータ分析の知識や技術自体には日米に大きな差はないと考えている。しかし、データに触れる機会が日本は圧倒的に少ないと指摘する。

 メジャーリーグではインターネット上で、ほぼ全てのデータを誰でも見られるようになっている。メジャーリーグ機構が費用を負担して全ての球場に機器を取り付け、データはテレビ中継などでも映し出される。投球であれば球速をはじめ、ボールの変化量や回転数、投手のリリース位置。打球なら速度、角度、飛距離といった数値が公開されているのだ。エンゼルス大谷翔平投手の投球や打撃の詳しいデータが日本にいても詳しく伝えられているのは、こうした理由からだ。

 一方、日本のプロ野球の科学的データは、ほとんど公開されていない。

 データに触れる機会が少なければ当然、興味を持つ人は少なくなる。仮にデータがオープンになれば、アマチュアを含めた野球界への理解や関心が高まり、データ分析の進化が加速する可能性もある。

【次ページ】 データ活用のスピード感、違いは「監督の役割」にも?

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