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プロ野球PRESSBACK NUMBER
“億超え投資”の最新野球データ分析… 甲子園優勝校・アマ強豪だけでなく「小、中学生や保護者も興味を」持つようになった“2つの利点”
posted2022/11/01 11:01
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama/Jun Aida
東京外環自動車道を東京から千葉方面に走り、都会と田舎が程よく融合する千葉県の北西部・市川市に入る。緑が増えて長閑な雰囲気が色濃くなる「道の駅いちかわ」の目の前に、真新しい建物が存在感を見せる。グレーと紺のバイカラーの長細い建物には「NEXT BASE ATHLETES LAB」の文字が刻まれている。
「億」をはるかに超える大金を投じて設置したワケ
建物を作ったのは、スポーツ科学に基づいて野球のデータを分析する「ネクストベース」。データ分析の専門家が、小、中学生からプロまで幅広いカテゴリーの選手やチームをサポートするベンチャー企業だ。高い専門性を活用するため、野球を中心としたスポーツのデータを計測する施設を8月27日にオープンした。民間企業では国内で初めてだという。
延べ床面積100坪ほどの施設には、高性能な最新機器が設置されている。ピッチャープレートを模した「フォースプレート」は、投球動作の中で、どの動きにどれだけの力が体のどの箇所にかかっているのかを細かくデータ化する。地面からのエネルギーを最大限、投球に生かすためには、どこに問題があるのかを科学的に解析する。
フォースプレートのデータに世界最高性能と評される光学式モーションキャプチャシステムや、秒間2000コマを撮影できるハイスピードカメラを組み合わせて、より細かな分析もできる。
他にも、最近見聞きする機会が増えた計測機器「ラプソード」や、肘や筋肉の状態を検査する「超音波診断装置」など、日本のプロ野球チームでも揃えていない設備が整っている。総工費は非公表だが、億を遥かに超える大きな金額を投じてこれだけの機器を設置したのは、データを正しく分析するアナリストが属するネクストベースの強みであり、決意の表れともいえる。
データ分析の変化を象徴する仙台育英の甲子園優勝
施設を建設した背景には、データに対する考え方の変化がある。 質の違いはあるにせよ、今やデータは小学生や中学生も活用している。決してプロだけのものではないのだ。ネクストベースの主任アナリスト・森本崚太氏は「ここ数年で、急激にデータ分析への関心は高まったと思います。大学、社会人といったアマチュアのトップレベルだけではなく、小、中学生や保護者も興味を