月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
J2・18位の甲府が天皇杯V、猪木の壮絶人生、原vs岡田のドラフト対決、雪辱のオリックス…10月のスポーツ界を表す“ある言葉”とは?
posted2022/11/02 06:01
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
JIJI PRESS
10月のスポーツ紙はにぎやかでした。あれもこれも読んでいると止まらないのですが、キーワードらしきものがあることに気づいた。
それは「下剋上」。
まずなんと言ってもこちら。
『天下獲った!!甲府V』(日刊スポーツ10月17日)
『史上最大の下剋上 甲府 初V』(サンケイスポーツ10月17日)
『甲府下剋上V』(デイリースポーツ10月17日)
サッカーの第102回天皇杯全日本選手権で、J2甲府が初優勝。J1広島と延長を終えて1-1で突入したPK戦を5-4で制した。J2勢の優勝は11大会ぶり。
甲府南中元サッカー部・堀内恒夫氏
「J2の18位がJ1の3位をPK戦で撃破」(サンスポ)したのだからこれ以上の下剋上はない。スポーツ報知は「史上最大のジャイキリ(ジャイアントキリング)」と表現。つい熟読してしまったのが報知の野球評論家であり甲府市出身の堀内恒夫氏のコメントだ。巨人のV9時代のエースで「甲府の小天狗」とも呼ばれたレジェンドである。
堀内氏は、
「甲府南中で最初に入部したのがサッカー部。半年で野球部に連れ戻されたけど、俺は元はと言えばサッカー少年だったんだ」
いきなりサッカー自慢から入る! J1昇格時の甲府の開幕戦で始球式をやったこともあって思い入れが人一倍強いチームだと語るのだが、
「きょうは延長後半でPKを取られた時に『万事休す』と思って、テレビを切った。PK戦も、だから見ていなかった」
最後まで見ていなかった甲府の小天狗! それだけドキドキハラハラしていたのでしょう。記事の見出しは「甲府南中元サッカー部 堀内氏」。この日ばかりはサッカーの肩書になっていてご愛敬。