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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「井上尚弥選手は確かにすごい。でも…」プロモーター・亀田興毅が語ったボクシング界の課題とは「他の格闘技に比べて、親切じゃない」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byMiki Fukano
posted2022/10/10 11:01
亀田興毅氏インタビューの後編。現役時代の“亀田バッシング”やJBCとの裁判を経ても、ボクシングへの感謝と愛情は変わらないという
プロモーター同士の競争が選手の利益になる
――選手に稼いでもらうために、ボクシングで強くなる以外のアドバイスはしていますか?
SNSを有効に使うための選手向けのセミナーを、専門家を呼んで開こうと思っています。YouTubeもいいんですけど、今はYouTubeより総再生回数の多いTikTokがいいという話もあって、そういうことも伝えていきたい。TikTokは特に10代の若い層に人気ですから。
――ボクシングファンはかなり高齢化しています。
そうなんです。もちろん今までのファンも大事なんですけど、若いファンを開拓していかないとボクシングの将来はない。ABEMAさんと仕事をさせていただく意義もそういうところにあるんです。ABEMAは視聴者の年齢層が低い。なおかつ、しっかりした番組を作ってくれる。
――そういうことを地道に続けていくことが、若いファンの獲得につながっていくということでしょうか。
1回やっただけじゃダメでしょうね。ボクシングも同じ。1回ではチャンピオンになれない。継続することが大事です。正直お金はかかるので大変ですけど、そこは根性でやっていくしかない。気合い入れて売り上げを作りにいく。コストをかけるなら売り上げを作れ、というシンプルな話です。やると決めたからには必ずやり切る。今、3年計画を立てています。
――3年後にはどんな形になっているのでしょうか。
正式にプロモーターライセンスを取ってからの第1回大会となった8月14日は、最初はエディオンアリーナ大阪の第1競技場でやるなんて無理だと言われていました。世界タイトルマッチでもない、有名な選手が出るわけでもない。『3150FIGHT』という名前だって誰も知らない。でも、亀田興毅を前面に押し出してなんとかやった。毎回、成果と反省の繰り返しです。これからさらに成長していきますよ。来年は世界タイトルマッチを開催して、東京に進出して、その次はアリーナ規模の会場でやって、と考えています。
――軌道に乗れば、成長のスピードは速そうですね。
僕らの登場によって業界に少なからず刺激を与えていると思いますが、さらに業界の底上げをするには早期に『3150FIGHT』を軌道に乗せて、成長速度を上げていかないとダメです。そうなると業界内でプロモーター同士が競争し、結果として選手の利益につながっていく。これから『3150FIGHT』と、そこに出場する選手が成長していくストーリーをお見せできればと思っています。それが「最高のボクシングの再興」へと繋がれば3150(サイコー)ですね。
<前編から続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。