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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「井上尚弥選手は確かにすごい。でも…」プロモーター・亀田興毅が語ったボクシング界の課題とは「他の格闘技に比べて、親切じゃない」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byMiki Fukano
posted2022/10/10 11:01
亀田興毅氏インタビューの後編。現役時代の“亀田バッシング”やJBCとの裁判を経ても、ボクシングへの感謝と愛情は変わらないという
ボクシングの仕組みやルールを伝える努力も
――いわゆる「エンタメファイト」的なものはこれからもやっていこうと思っていますか?
いずれはいらなくなるとは思うんですけど、今はやっぱり新しいお客さんを引き込むという意味で必要かなと思います。もちろんルールの範囲内でやりますし、ダメだと言われたらやりません。別のことを考えるだけです。
――ファンの拡大は古くて新しい課題です。亀田さんはTwitterでライトなファンに向けてボクシングの採点を説明していましたね。
みんな分かっていないと思ったんですよ。会社で会議すると気付かされるんです。ボクシングを知らない人たちは、採点だけじゃなくてA級とかB級とか、4回戦とか6回戦とかも全然知らない。なら知ってもらおうと。ルールが分かってくると絶対に面白くなるはずなんですよ。ゲームと同じです。難しければ攻略したくなる。分かれば分かるほど楽しくなる。だから会場で配るパンフレットにもルールのことは詳しく載せるようにしています。
――それだけ熱心にボクシング界を変えようというモチベーションはどこからきているんでしょうか? 亀田さんは現役時代、かなり批判をされたし、バッシングも受けた。ボクシングに対してマイナスの感情を抱いてもおかしくないと思います。
ボクシングがあって今の亀田興毅がある。僕もボクサーだったから分かりますけど、選手はけっこう大変なんですよ。減量はあるし、プライベートもほとんどなかったりするし、弟の大毅だって網膜剥離になったし、場合によっては後遺症が残るボクサーもいる。みんな命がけで戦っているんです。だから繰り返しになりますけど、ボクサーの地位を向上させたい、もっと稼がせてあげたいという思いですね。