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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「井上尚弥選手は確かにすごい。でも…」プロモーター・亀田興毅が語ったボクシング界の課題とは「他の格闘技に比べて、親切じゃない」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byMiki Fukano
posted2022/10/10 11:01
亀田興毅氏インタビューの後編。現役時代の“亀田バッシング”やJBCとの裁判を経ても、ボクシングへの感謝と愛情は変わらないという
皇治の参戦が物議も「JBCと対立する気はない」
――8月の『3150FIGHT vol.3』、9月の『3150FIGHT SURVIVAL』では、第1試合からメインなみに紹介映像を作っていました。オープニングで出場選手が全員登場するところも、他の格闘技イベントのスタイルですね。
はい、お客さん目線に立つとああいう形になると思います。まだまだ改善すべきところはありますけど。
――『vol.3』の同日に同じ会場で開催したキックボクシングの皇治選手とボクサーライセンスを持つヒロキング選手の“エキシビション”が問題になりました。あれは他の格闘技ファンを引き込もうという意図ですか?
それはありました。どこからファンを引き込むかといえば、やっぱり格闘技ファンは来てくれる可能性が高い。格闘技ファンの力は数字に出ていますから。東京ドームの那須川天心選手と武尊選手の試合がPPVで50万件ですよ。そういうファンを引きつけたいなら皇治選手に出てもらうと一番効果がある。飛び道具というか、着火剤的な位置づけです。それを目的で見に来てくれたファンが、他のボクシングの試合を見て「すごいな」「面白いな」と思ってくれたらいいわけです。
――皇治選手には「4ケタ払った」と伝えられていますが、それくらい投資する価値があったということですね。
一部で4ケタと言われていますが、ご想像にお任せします。ただ、少ない額ではない。でも話題は作れたので、そこは勝負勘みたいなものが働きました。
――その一方で、あれはJBC(日本ボクシングコミッション)ルール違反だという批判も受けました。
ああなるとは思わなかったですね。事前に何度もJBCと話し合いましたし、過去に現役ボクサーの但馬ミツロ(KWORLD3)と、JBCから処分されたまま引退後には他の格闘技にも出場していた元東洋太平洋クルーザー級王者の西島洋介さんとのエキシビションマッチも、プロボクシングの公式戦の後に同じリングでやっていますから。最初から「興毅さん、さすがにそれはダメですよ」と言われたらやっていません。
――JBCとは裁判でも争いました。最終的に亀田さん側が勝訴しましたが、今でも憤りはありますか?
JBCと対立しようとはまったく思っていません。JBCって国で言えば法律を作るところ。ライセンスも発行する。ボクシングに必要な第三者機関なんです。他の格闘技にはないものですよね。ボクシングにはコミッションがあるからスポーツとしての信頼を得られるところがある。そこは大事ですよ。