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甲子園NHK解説者が語る“大阪桐蔭が敗れた理由”「(下関国際は)絶対王者を意識していなかった」…2年生・前田悠伍の涙に重なる「2018年の最強世代」 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/08/19 17:01

甲子園NHK解説者が語る“大阪桐蔭が敗れた理由”「(下関国際は)絶対王者を意識していなかった」…2年生・前田悠伍の涙に重なる「2018年の最強世代」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

NHK人気解説者に聞く「大阪桐蔭の敗因」とは?

「中学卒業時の実力が高くても高校で伸びるとは限らない。多くとれば勝てるなら、どのチームも強くなりますが、そうはならないですよね。西谷監督の指導力の賜物だと思います」

 大阪桐蔭は全ての野球部員に寮生活を送らせている。洗濯や掃除は1年生も3年生も各自で行うため、いかに自分の時間を確保するかに頭を使う。無駄をなくし、隙間時間を有効活用するという自己マネジメント力が自然と身に付く。杉本氏は「大阪桐蔭はグラウンドでも時間を大切にしている」と指摘する。

「テレビにはほとんど映らないですけど、常に“目的の明確な全力疾走”をしていました。攻守交代の時にいち早くポジションにつき、守備位置の確認やキャッチボールをして、万全を期す。ネクストバッターズサークルやバッターボックスに向かう時も1秒でも早く行って、1本でも多く素振りをする。この“準備”がレベルの高い守備や打撃を生み出している。単に全力疾走しているのではなく、西谷監督が意味を伝えた上で徹底しています」

西谷監督が言う「準備」の意味

 今大会を振り返っても、西谷監督や選手たちが試合後のコメントで何度も“準備”という言葉を使っている。初戦の旭川大高戦は3点を追う展開になったが、海老根優大外野手は「先制される準備はしていた」と事前の心構えを話し、松尾汐恩捕手は「次もしっかり準備したい」とすぐに切り替えた。2回戦で聖望学園から19得点を奪って圧勝すると、西谷監督は「データ通り。しっかり準備できていた」と振り返った。3回戦の二松学舎大付戦で大前圭右選手を大会初スタメンに抜擢した理由を聞かれると、「いつもベンチでいい準備をしてくれていた」と語った。

【次ページ】 「勝負事に絶対はない」を想起させるほど強かった

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