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「おう!また負けに来たんか」名将・高嶋仁を“勝負師”に変えた甲子園のヤジ…智弁和歌山が“初めて負けた夏”から積み重ねてきたこと
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byTadashi Shirasawa
posted2022/08/10 06:00
歴代最多の甲子園通算勝利数「68」を誇る智弁和歌山・高島仁前監督。知られざる挫折を乗り越え、名将の地位を築いていった
全国の1回戦では東北高校と対戦した。1-2での敗戦を振り返る上出の言葉は、悔しさとは無縁の響きを持つ。
「あの試合がどうこうより、『ええ芝生やな。広い球場やな』という感覚。予選ではもっと打てたのに、とは思いました。でも向こうのピッチャーのスライダーにくるくる回ってたんで、それもしょうがないっていうか。これが全国大会のレベルか、と」
高嶋は県大会決勝の光景を鮮明に記憶しながら、甲子園での夏の初黒星をほとんど覚えていない。それは、当時の高嶋にとっても、甲子園がまだ「目指すべき場所」に過ぎなかったことの証左なのかもしれない。