酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
〈甲子園の勝利数番付〉大阪桐蔭が近づく“平成デビュー初快挙” 最強公立校や天理・横浜・日大三など「東西三役~十両候補」は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama/Kou Hiroo
posted2022/08/06 17:01
根尾昂らの大阪桐蔭、松坂大輔らの横浜…強豪校も徐々に甲子園勝利数の番付で上位に進出してきている
とりわけ3回目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭(大阪)が注目を集める。今年の春に大阪桐蔭は優勝、春夏連覇すればさらに6勝を加算し、広陵(広島)を抜いて前頭筆頭に昇格することになる。この勢いが続けば、来年にも三役入りだ。大阪桐蔭は昭和最終年の1988年に初めて夏の予選に参加、甲子園初出場は1991年春、平成に甲子園デビューした学校の三役入りは史上初となる。
天理、智辯和歌山(和歌山)といったライバル校は、勝ち星を加算して大阪桐蔭の急成長を阻止したいところだ。
東方でも横浜(神奈川)、日大三(東京)、仙台育英(宮城)と有力校が今夏の甲子園に出場する。今大会中の三役入りはないが、3校ともに前頭上位でしのぎを削っている。
十両では東十両2枚目の星稜(石川)があと5勝で新入幕が確実になる。今年の星稜は1点差試合を2つ制して出場を決めた。粘りの野球で、上位進出なるだろうか。
西の十両、幕下では近江(滋賀)に注目だ。昨年夏は準決勝進出、今年春は決勝で大阪桐蔭に敗退と、直近2回の甲子園大会では8勝2敗とめっぽう強い。今夏に決勝まで進むことがあれば、幕下6枚目から一気に十両入りを果たせる。三段目では今夏出場校は明豊(大分)だけ。いわゆる中堅校、新興校の勢いがなかった。
今年から連合チームは「1」ではなく学校数になったが
日本高野連が発表した統計資料によれば、5月末時点での高校硬式野球部員は、13万1259人。2014年には史上最多の17万312人だったから、わずか8年で4分の1近い23%もの減少となった。
また参加校数も3857校と最多の2005年の4253校から10%の減少。日本高野連は1997年から「連合チーム」での出場を認め、9人未満の野球部での公式戦、甲子園の予選への出場の道を開いたが、近年は、連合チームを含めても部員数、参加校の減少が止まらなくなっている。昨年までは「連合チーム」は、参加校としては「1」とカウントしていたが、今年から3校の連合チームなら「3」とカウントすることになった。それでも参加校数は前年より33校減っているのだ。
夏の甲子園では決勝戦の後、優勝校を「全国4000校、15万球児の頂点に立った」と言ってきたが、これも使えなくなってしまう。
高校球児の減少は「少子化」だけでは説明できない。2010年の19歳未満の人口は2380万5000人だったが、2022年は2274万2000人。4.67%の減少に過ぎない(この時点でも深刻な数字なのだが)。この間に高校野球の競技人口は20%以上も減少している。
地方では甲子園出場の「寡占化」が進んでいる
高校野球の「裾野」が痩せてきた結果として、地方では少数の高校による甲子園出場の「寡占化」が進んでいる。