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プロ野球PRESSBACK NUMBER
ラミレスに聞く“成功する助っ人”の条件…「刺身や寿司を食べられる選手」の真意 「14球団にするべき」球界へ提言も
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/07/15 11:02
ラミレスが語る日本プロ野球の魅力と今後への提言。そして外国人選手が成功するための「キーワード」とは?
メジャーリーグのトレンドにも後押しされ、18年シーズンは(ネフタリ・)ソトや宮﨑(敏郎)を2番に起用、19年には主砲の筒香(嘉智)を置いたこともある。チームで最もいい打者を2番に置くのが指揮官・ラミレスの好きなスタイルだった。
「当時はまだ“奇策”と言われたりもしましたが、数字を見れば彼らを2番に置いたときの結果も良かった。いい打者がラインナップの最初のほうに並ぶことで得点効率が上がった。ちなみに今の野球界で最も2番に適しているのはベイスターズの牧(秀悟)だと思いますよ。どの方向にも打てて、色々なことができる。パワーもあってストレートにも強い。2番にはうってつけかなと思います」
「刺身やお寿司を食べられる選手に成功する例が多い」
さてラミレス氏から見て、印象的だった同時代の外国人選手は誰だったのか。
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「特にタフィー・ローズや(アレックス・)カブレラ、(マット・)マートンでしょうか。野球の能力だけで言えば私以上の選手です。ただ、私が長くプレーし、監督まで務められたのは、日本野球へのリスペクトや、オフ・ザ・フィールドの姿勢といった部分にあるのかなと思いますね。ほかに(ロベルト・)ペタジーニも凄い数字を残している。彼自身、もっと長く日本でやりたかっただろうけどそうならなかったのは、やはり何か足りないものがあったからなのでしょう」
確かに日本で印象的な活躍をした外国人選手でも、キャリア晩年に何らかのトラブルを起こしたり、本人が希望しても契約延長に至らず日本を後にする例は多い。ラミレス氏はヤクルト、巨人、DeNAで活躍し、最後はBCリーグ・群馬でプレーして現役引退。14シーズンの長きにわたり日本の野球界で愛され、外国人選手で初めて名球会入りも果たしている。
「外国人が長年にわたり日本のチームと契約してもらって活躍するためには沢山のチェックリストがあって、そこを全てクリアしないといけないんです。あとは給料面の理由もあるのかもしれない。アメリカではハングリーだった選手が、一度大金をもらってしまうと、ダメでもまあいいか、あとは観光して帰ろうか、という風になってしまう。今の選手たちは、試合がない月曜日にはディズニーランドや東京タワー、富士山だ、と観光していることも多いけれど、私は月曜日は次の6連戦に向けてしっかり休んでいた。日本でずっとプレーし続けるために野球だけに集中できる選手はそう多くないのかもしれません」
ラミレス氏は、後に来日した後輩の外国人選手によく、日本で活躍するための秘訣を聞かれていた。
「どの外国人選手にも同じことを必ずアドバイスしているんです。ここはベネズエラでもアメリカでもない。一番重要なのは日本の文化を学ぶことだ、と。同じボールを打つのに日本の文化が何の関係があるんだ、と言う選手もいるけれど、そこは密接につながっているんだよ、と教えます。今まで沢山の外国人選手を見てきたけれど、不思議なもので刺身やお寿司を食べられる選手に成功する例が多いように感じます。自分の国で食べているものしかダメというのでは、地方球場やオープン戦で対応できない。異文化に挑戦するオープンな姿勢が大切です」