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核心にシュートを!BACK NUMBER
ネイマールと渡り合った板倉滉が“日本代表とシャルケでの急成長”を自己分析 「自信を失うのは一瞬」「W杯でも上手くいかないことは絶対に…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJMPA
posted2022/06/15 17:03
板倉滉はブラジル戦、ネイマール相手に必死の守備を見せた
さらに、忘れてはならないのは、今シーズンの板倉が日本代表でも存在感を増したこと。1月の中国戦でW杯最終予選に初出場すると、そこから3試合連続で先発。W杯出場権獲得に大きく貢献した。
初スタメンを飾った中国戦で印象的だったのは、日本の「攻撃」でPKを奪った場面で見られた、徹底したリスク管理だった。
相手の最前線にはカウンターを狙っていた選手がいたのだが、その近くに立っていたのは田中碧だった。板倉は当初、その選手のマークを田中に任せ、自分がもう少し高い位置をとろうとしていた。ただ、最後尾にいた谷口彰悟が、板倉に対して中国の選手につくように指示し。板倉は判断を変えた。日本が優勢な状況であっても、代表では初めてコンビを組んだ谷口と板倉がしっかりコミュニケーションをとっている。それを象徴する場面だった。
「後ろに彰悟さんいるから」と安心して
――2人が常に声をかけあっていたのが印象的でした。
「無失点で抑えられたのも、そのコミュニケーションが全てかなと思います。試合前から『相手がこう動いたから、どうしようか』と話していたし、試合中にも『言わなくてもわかるだろう』という些細なことでも声をかけあっていたので」
――声援を送れない状況のスタジアムだったからこそ、声の一部はスタンドにも届いていました。
「そのあとのサウジ戦でもそうですけど、仮に自分が抜かれたとしても『後ろに彰悟さんいるから』と安心して、躊躇せず相手にアタックする場面も多かったです。それもあって僕らの守備はあまり壊されなかったかなと」
――なるほど。
「逆に、海外では、1対1の局面でやられて失点につながった場合、やられた選手の責任だという考えも強いですね。どちらが良いというのはないですけど」
――海外でプレーしているときには海外の、日本代表にいるときには代表の価値観やルールに合わせると?
「もちろん、日本代表の試合で1対1のシーンでやられてもOKということではないです。でも逆に言えば、後ろでカバーしてくれるという安心感があるからこそ、一対一で思い切りチャレンジできる側面もあるんです」
――監督による違いだけではなく、国やリーグ、クラブチームか代表チームかによっても、色々な守り方がありますよね。
「だからこそ、所属チームのやり方をそのまま代表に持ってくるのはダメ。例えば、フローニンゲンの時などは、守備がものすごく細かかったんです。『相手のボールがこういう風に動いたら、こう動け』というように。あるいは『味方のこの選手が前に出たら、そこから〇〇メートルぐらいの距離にいろ』みたいな約束事もありました」
――そのあたりはオランダらしいですね。
「そうですね。だからこそ、代表に帰ったときには、時間がないなかで、きちんと声をかけあってやることが大切です。あとは、シーズン中に代表戦にいくときには、頭の整理や切り替えが大事だとも思いました」
「メンタルが大切」とよく口にする理由は?
――最後の質問ですが『サッカーではメンタルが大切』だと板倉選手はよく口にしますが、それはどういうことですか?