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核心にシュートを!BACK NUMBER
ネイマールと渡り合った板倉滉が“日本代表とシャルケでの急成長”を自己分析 「自信を失うのは一瞬」「W杯でも上手くいかないことは絶対に…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJMPA
posted2022/06/15 17:03
板倉滉はブラジル戦、ネイマール相手に必死の守備を見せた
「メンタルによってプレーがブレるからです。調子が良い時には気持ちよく、思い通りにプレーできます。ただ、『やばいな。ミスをしてしまった』というメンタルになっている時には、積極的な選択ができず、消極的なプレーが続いてしまうんですよね。
じゃあ、どうしたらメンタルが強くなるのかと考えると、結局、積み重ねしかない。敗戦からも、負けたあとに勝利をつかんだ試合からも、今シーズンのように2部での優勝経験や昇格争いの経験からも得るものがあって。その積み重ねが自信につながります。メンタルを強くするというのは、そういう自信をつけるということでしょうね」
――ちなみに、東京五輪の準々決勝のPK戦で板倉選手は、公式戦ではこれまでPKを蹴ってこなかったのにキッカーに立候補したんですよね? あのエピソードなどは板倉選手のメンタルの強さを象徴していそうですが。
「うーん、どうですかね。あのときも自分で『蹴ります』といって、順番を待っているときには『外したらヤバイな』と思っていました。ただ、その一方で、外す気もあまりしていなかったし……。『メンタルが強いですね』と言ってもらうことはありますけど、別に自分では強いと思っていなくて」
――そうなのですか?
「忘れてはいけないのは、自信をつかんでいっても、その自信を失うのは一瞬だということです。一つのミスをした時に、それまでのプレーが全然できなくなることもありますから。そういう状況になると『ポジティブに考えなきゃ』となるわけですが、そう考えている時点でメンタルはブレていますし。だからこそ、積み重ねが大事になるのでしょうね」
本大会も上手くいかないことは絶対にあると思うので
――では、この6月シリーズの4試合と9月の2試合をふまえて、W杯本大会までにメンタル面ではどのような準備をしていきたいですか?
「W杯までに自分ができないことに取り組もうとするよりは、自分が持っているもの、シャルケで培ったものを、大舞台で全て出し切れるようになるにはどうすればいいのかを考えるのも1つですよね。いくら準備したからといって、メンタルをオートマティックに最高潮に持っていけるわけではないですから。そして、これからの親善試合でも、本大会でも、上手くいかないことは絶対にあると思うので。そこで心を乱されないように、毎日、やり続けるだけですね」
6月6日のブラジル戦でネイマールと対峙して、素晴らしい対応を見せたのは記憶に新しい。14日のキリンカップ決勝でも、特に前半は勇気を持ったインターセプトと前線への配球で好プレーを見せた。それらは板倉の努力の成果である。
シャルケへの完全移籍はかなわなかったものの、ブンデスリーガ1部のクラブを筆頭に、イングランドからも板倉に熱視線を注ぐクラブは増えているという。それはつまり、来シーズンはさらに上のステージで戦う可能性が高いということ。板倉が成長を「点」でとらえるのではなく「線」でとらえてきたからこそ今があるのは、インタビューでも語られた通り。
だからこそ、これまでより上のステージ進む可能性が高い板倉には、W杯までの約5カ月でさらなる成長が期待できる。6月の代表戦でもたくましさを感じさせた板倉が、カタールW杯でさらに頼もしい存在になっていたとしても決して不思議ではない。
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