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ドラフト候補にありがちな「〇〇二世」「〇〇の再来」は禁句にしてきたが…「こりゃ、小園だなぁ」DeNAドラ1によく似た高校生投手を見つけた

posted2022/06/14 17:00

 
ドラフト候補にありがちな「〇〇二世」「〇〇の再来」は禁句にしてきたが…「こりゃ、小園だなぁ」DeNAドラ1によく似た高校生投手を見つけた<Number Web> photograph by KYODO

昨年ドラフト1位でDeNA入りした小園健太。写真は入団交渉を終え、三浦大輔監督と記念撮影(昨年11月)

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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KYODO

 毎年5月から6月にかけて、高校球界では、盛んに「招待試合」が行われる。

 通常の「練習試合」とは違って、都道府県の高野連が主催して、話題のチームや強豪チームを招待し、地元校と数試合行なって、技量と意識の向上に努めようという公式行事である。

 ルーツは50年ほどさかのぼる。

 怪物・江川卓投手を擁した作新学院は、春のセンバツ後の週末・休日のことごとくが招待試合の連続で、移動の金曜日は毎週機上の人となっていたという逸話があった。「教育の一環としての高校野球」なのに、野球中心の生活になるのはいかがなものかと議論になったこともあるが、それでも原辰徳(現・巨人監督)の東海大相模や斎藤佑樹(日本ハム、昨年引退)の早稲田実業など、人気者が現れると、引っ張りだこになるのは、ある程度、仕方ないのかもしれない。

 最近は、大阪桐蔭に人気があるらしく、今月は富山で招待試合を行ったと聞く。

まずは“来年のドラフト候補”ピッチャー

 一方、愛知県高野連の主催で、天理高が中部大春日丘、至学館、享栄、星城の4校と招待試合を行なうと聞いて、私は5日の刈谷球場に向かった。

 出かけた理由の1つは、「享栄高」が出場すること。左腕の2年生エース・東松快征(178cm83kg・左投左打)は、すでに140キロ後半をマークする剛腕の卵として、活字になっている。

「全国」の常連、天理高相手に、先発の立ち上がりから140キロ台を連発しながら飛ばしていたが、気負いも見えていた東松投手。

 ひと汗かいて、頭も冷えてきた頃から、多彩な変化球を混ぜ始め、そのへんから徐々に「平熱」に戻ったようだ。スライダー、カーブ、カットボールにチェンジアップだろうか……持ち札は多彩だった。

 中でもチェンジアップだ。インパクト寸前、一瞬止まったようにも見える「変化」が、何度も天理打線のバットに空を切らせた。

 0対1で迎えた最終回。同点のランナーが一塁に出た場面で、わざわざベンチから出てきて、打席に向かおうとする打者の肩を抱いて、背中を何度も叩きながら激励を繰り返す東松投手。

 激励している相手が「3年生」だったから驚いた。勝負に対する執念は、「上下関係」を超えるのか。来年は、視線が集中する存在になるのだろう。

「こりゃあ、小園だなぁ!」

 そして、第2試合だ。先発のマウンドに上がった星城高・田島善信(3年・182cm78kg・右投右打)

 初回7球の投球練習……最初の2球を見て、もう胸が躍った。

「こりゃあ、小園だなぁ!」

【次ページ】 「こりゃあ、小園だなぁ!」の理由

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