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試合中の一時心停止から1年経たず… エリクセン「カムバックは完璧だ」代表とプレミアでゴール量産《サッカー界の意識を変えた名手》 

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三重野翔大

三重野翔大Shodai Mieno

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posted2022/04/18 11:00

試合中の一時心停止から1年経たず… エリクセン「カムバックは完璧だ」代表とプレミアでゴール量産《サッカー界の意識を変えた名手》<Number Web> photograph by Getty Images

心臓発作から一命をとりとめたエリクセン。フットボーラーとして復帰後、活躍を見せている

 昨年10月、プレミアリーグ第8節ニューカッスルvsトッテナムの一戦で、試合が一時中断した。

 40分を過ぎたあたり、スタンドにいた観客の1人が心臓発作で倒れたのだ。周囲は騒然とし、セルヒオ・レギロンがいち早く異変に気付くと、主審に事情を伝えて試合を中断させた。

 さらにエリック・ダイアーは鬼気迫る表情でベンチにいるスタッフにAEDを要求。メディカルスタッフなどが心肺蘇生法、AEDなどの応急処置を行い、状態が安定したところで病院に緊急搬送された。

「フットボールが最も重要なことではない」

 セント・ジェイムズ・パークのスタンドから拍手が送られたレギロンは試合後、「彼は今大丈夫だと思うし、それが何よりも重要なことだ」と話した。その後自身のTwitterにも「フットボールが最も重要なことではない。(搬送されたファンが)早く治ることを祈るよ」と何よりも人命が最優先であるとのメッセージを投稿した。

 エリクセンやヌーリのことを見る目は、まず何よりも素晴らしいフットボーラーであるということに他ならない。彼らにとっても、それぞれの経験は辛く苦しく、振り返りたくないであろう過去であり、こうしたエピソードを容易に持ち出すべきではないのかもしれない。

 一方で、サッカー界は彼らの経験から多くを学んでいる。

 皆、口には出さないが、EUROのような大舞台で目の当たりにしたことで、選手もスタッフも、ファンも、人命救助に対する緊張感を募らせることになったのではないだろうか。

松田直樹さんから始まった、AED常備の義務化

 日本でも2011年8月4日、当時JFLの松本山雅に所属していた松田直樹さんが、トレーニング中に急性心筋梗塞を起こして急逝。当時トレーニングで使用していたグラウンドにはAEDが設置されておらず、十分な応急処置を取れていなかった。

 この件が起きて間もなく、日本サッカー協会はJリーグだけでなく他のカテゴリーにおいても、試合や練習におけるAED常備の義務化を決めた。

 もちろん松田さんの死は悲しいものであり、それ以前に日本を代表する素晴らしい選手だったということを忘れてはならない。しかしこのような事故を教訓に、将来起こりうるアクシデントを未然に防ぐこともまた大切である。

 決して物語のひとつにするわけではない。彼らの経験を直視して、サッカー界もファンも学んでいかなければならないのだ。

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