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試合中の一時心停止から1年経たず… エリクセン「カムバックは完璧だ」代表とプレミアでゴール量産《サッカー界の意識を変えた名手》

posted2022/04/18 11:00

 
試合中の一時心停止から1年経たず… エリクセン「カムバックは完璧だ」代表とプレミアでゴール量産《サッカー界の意識を変えた名手》<Number Web> photograph by Getty Images

心臓発作から一命をとりとめたエリクセン。フットボーラーとして復帰後、活躍を見せている

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三重野翔大

三重野翔大Shodai Mieno

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 2月、アヤックスは元U-19オランダ代表アブドゥルハーク・ヌーリ氏の家族に対して、785万ユーロ(約10億円)の賠償金の支払いに合意したと発表した。

 事が起きたのは2017年の7月。プレシーズンマッチに出場していたヌーリは、70分を過ぎたあたりでゆっくりとピッチに倒れこんだ。その後対戦相手であるブレーメンのメディカルスタッフも交えて治療を行った後、病院に緊急搬送。一時は心停止状態にありながら幸いにも一命をとりとめたが、脳に大きな後遺症を残った。

 当時20歳。アヤックス屈指の逸材と目されていた若者に降りかかった突然の災難に、フットボール界は騒然とした。

 約1年に及ぶ昏睡状態から目を覚ましたのは2018年のこと。以後、家族のサポートもあり少しずつではあるが、コミュニケーションを取れるようになっているという。

チームメートに愛され続けるヌーリ

 その後ヌーリの家族は、ピッチ上での医療措置が適切に行われなかったことが重症化を招いたとして、アヤックスを提訴。クラブ側はこの責任を全面的に認め、家族との協議を続けていた。

 アヤックスCEOのエドウィン・ファンデルサールは「合意に達したのは良いことだ」としつつも「アブドゥルハークと家族の苦しみが終わっていないことは実感している。とても悲しい状況であることは変わりない、それは我々アヤックスも同じだ」と語り、今後もサポートを続けていく意向を示している。

 また「ご家族が日夜、愛情いっぱいに彼をケアしている姿に、私たちはとても感謝している。私が彼を訪ねると、いつもご家族が快く迎えてくれる。それは他のアヤックスの仲間にも言えることで、皆がとても感謝している」と家族への敬意を表した。

 実際、彼はかつてのチームメートにも大いに愛されている。ドニー・ファンデベーク(現エバートン)が2020年にマンチェスター・Uへ移籍した際、「これは僕にとって特別な番号」とかつてヌーリがアヤックスで付けていた背番号34を選択した。

 またフレンキー・デヨングはバルセロナに加入する前のヌーリとのエピソードを明かしている。

「彼の母親がやってきて、ヌーリに『フレンキーはどこに行くべき?』と尋ねたんだ。彼女はクラブの名前を挙げていって、『バルセロナは?』と言ったとき、ヌーリは眉毛で同意の合図をしたんだ。僕にとっても、家族にとっても特別な瞬間だったよ」

エリクセンの見事な復活劇

 ヌーリが再びピッチに戻ってくることはおそらくないだろう。それでも彼が素晴らしいプレーヤーであったこと、今もアヤックスの一部であることに変わりはないのだ。

 そのアヤックスで育った世界的プレーヤーが先日、見事な復活劇をみせた。

【次ページ】 「国際舞台へのカムバックは、完璧だ」

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