甲子園の風BACK NUMBER
「ストップ・ザ・大阪桐蔭」プロ級左腕の前田&超強力打線という“絶望”…それでも勝ちうるチームは? 近畿に多い対抗馬、“大穴”は札幌にいた
posted2022/04/06 17:01
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph by
Nanae Suzuki
春の選抜高校野球大会(センバツ)を圧倒的な力で制した大阪桐蔭。準々決勝以降の3試合で48得点を奪い、チーム11本塁打は大会新記録。中心投手の登板イニング数を見ても、川原嗣貴が18回、前田悠伍が13回を投げたのみ。これほど消耗度の小さい優勝校は珍しい。
――大阪桐蔭を止められるチームなど、存在するのか?
早くもそんな声すら耳にするほどの、スキのない布陣だ。大阪桐蔭はもちろん強い。それでも、一発勝負のトーナメント戦では、多少の戦力差なら番狂わせも起こりうる。そこで、「ストップ・ザ・大阪桐蔭」の候補になる有力校を紹介していこう。
地元・大阪に「戦いにくい相手」と「2強の一角」
◎金光大阪(大阪)
理由:「エース・古川の粘り強さ」と「ジャイアントキリングの伝統」
寸評:“大阪桐蔭包囲網”は大阪府内から始まっている。センバツでは大阪桐蔭とともに出場し、ベスト8に進出した金光大阪は不気味な存在だ。エース右腕の古川温生は身長170センチと小柄ながら、今春に自己最速の144キロをマークするなど成長著しい。実戦での粘り強さもあり、大崩れするイメージが湧かない。
また、金光大阪には「ジャイアントキリング」を起こしてきた伝統もある。2007年夏には怪物・中田翔(巨人)を擁した大阪桐蔭を大阪大会決勝で破り、夏の甲子園初出場を決めている。大阪桐蔭にとって戦いにくい相手なのは間違いないだろう。
◎履正社(大阪)
理由:「ハイレベルな戦力」と「『2強』のプライド」
寸評:大阪桐蔭と府内の「2強」を形成してきた履正社も、実力は十分ある。昨秋の大阪大会準決勝では3対5とクロスゲームを展開。しなやかな身のこなしを見せる遊撃手・光弘帆高を筆頭に、野手陣は今年もハイレベル。