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「ストップ・ザ・大阪桐蔭」プロ級左腕の前田&超強力打線という“絶望”…それでも勝ちうるチームは? 近畿に多い対抗馬、“大穴”は札幌にいた 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/04/06 17:01

「ストップ・ザ・大阪桐蔭」プロ級左腕の前田&超強力打線という“絶望”…それでも勝ちうるチームは? 近畿に多い対抗馬、“大穴”は札幌にいた<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

「ストップ・ザ・大阪桐蔭」の候補になる有力校を紹介していこう

 他にも制球力に優れる村越仁士克、昨夏に1年生ながら最速146キロをマークした新2年生・高橋史佳(ふみか)も控える。部員による部内暴力とSNSの不適切使用があったため、チームは4月25日まで対外試合禁止処分を受けているが、春季新潟大会には出場可能だ。

桐蔭打線が“苦戦しそうな好左腕”が札幌に…

◎東海大札幌(北海道)

理由:「鳴門のエースを彷彿とさせる左腕」と「強肩強打の捕手」

寸評:今春の大阪桐蔭をもっとも苦しめたのは、1回戦で1対3と惜敗した鳴門(徳島)だった。左腕エースの冨田遼弥が強打者のインコースを突き、8回3失点(自責2)と強打線を抑えている。この傾向から大阪桐蔭が苦戦しそうな左腕として、東海大札幌の門別啓人の名前を挙げたい。

 最速149キロに達するキレのあるストレートと、ヒザ元をえぐるスライダーを武器にする本格派サウスポー。大阪桐蔭が誇る松尾汐恩、海老根優大、伊藤櫂人といった右の強打者にクロスファイアーを投げ込めれば、勝機はある。バッテリーを組む唐川侑大も強肩強打で注目され、自身もマウンドに上がれば140キロ台中盤の球速をマークする速球派だ。

センバツ出場の浦和学院、九州国際大付にも可能性

 そのほかにもセンバツ出場校では、浦和学院(埼玉)、九州国際大付(福岡)、広陵(広島)といった実力派に打倒・大阪桐蔭の可能性を感じる。

 大阪桐蔭にしても、春の結果を受けて慢心はないはずだ。西谷浩一監督が「私も選手も驚くくらい、安打、得点ができた」と語ったように、今大会の攻撃力はでき過ぎという認識があるのだろう。2回戦で対戦相手の広島商が出場辞退したこともあって1試合少なく、準々決勝以降は対戦相手の投手が疲弊していた事情もあった。

 また、選手は常に危機感と背中合わせの日々を過ごしている。少しでも気を抜こうものなら、虎視眈々とレギュラーの座を奪おうと狙う選手に取って代わられる。日本一の名門は、日本一の競争をくぐり抜けているのだ。大阪桐蔭が大阪桐蔭たるゆえんだろう。

 これから夏にかけて、高校野球界は大阪桐蔭を中心に回っていくのは間違いない。“大阪桐蔭包囲網”を通して、さらなる名勝負が展開されることを祈りたい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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