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「なぜ人はカズを見たくなるのか?」三浦知良55歳のJFL開幕戦でカメラマンが抱いた「スタジアムに足を運ばせること」への畏敬の念
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/03/20 11:02
55歳の三浦知良(鈴鹿ポイントゲッターズ)は3月13日のJFL開幕節にスタメン出場し、65分間プレー。アマラオが保持していたJFLの最年長出場記録(43歳9日)を大幅に更新した
個人的には、現在における「なぜカズを見たくなるのか?」という問いへの答えのひとつとして、これまで挙げた内容の他に、「大きなものを作り上げていくことに参加したい」という部分が無意識のうちにある気がしてならない。
それは、これまでパイオニアとしてサッカー文化を広めてきた存在であるという前提があってこそだ。自分の「カズを見る」という行動に、「共に文化を作り、育てていく」という魅力が伴うことが、スタジアムまで足を運ばせる要因になっているのではないだろうか。
チームメイトも発奮「カズさんだけじゃないんだぞ、と」
少なくとも、クラブにとってカズを擁することはその大きなチャンスになる。
鈴鹿のGM兼監督を務め、カズの実兄でもある三浦泰年は、試合後の場内インタビューで「週末にポイントゲッターズの試合を観ると月曜日に元気が出る、勇気が湧く、仕事のやる気が出る、そういうチームになれるように頑張っていきます」と抱負を語った。
同クラブのこれまでの最多入場者数は、2019年の三重ダービーで記録した1308人。昨年の開幕戦は569人だった。Jリーグのない県に、サッカー観戦という文化が定着するかどうか。鈴鹿や四日市にとって、鈴鹿ポイントゲッターズというチームが不可欠なものになるかどうか。それは、将来的にJリーグへの昇格にも繋がっていく重要なポイントだ。
選手たちにとっても、カズのプロとしての姿勢を間近で見て学ぶことに加えて、これまでにない注目を集めることは大きなモチベーションになる。
先制点を決めた三宅海斗は、「みんなお目当てはカズさんだったと思いますけど、カズさんだけじゃないんだぞ、ということを今日示せたと思う」とヒーローインタビューの中で語った。
JFL全体でも、このチャンスを活かそうとしている。
3月20日、鈴鹿をホームに迎えるマルヤス岡崎は、ネーミングライツを取得しているホームのマルヤス岡崎龍北スタジアム(収容人数5000人)ではなく、名古屋市港サッカー場(同2万人)で試合を開催する。
全てのアウェイ戦で動員記録を更新しそうな勢いだが、果たして今季はどこでカズダンスを見られるだろうか。
カズは「試合に出れば出るほど、自分の体も反応してくれる。忘れかけていたものを蘇らせられる」とますます情熱を燃やしている。
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