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W杯への大一番を前に…遠藤航が戸田和幸と語ったボール奪取力の極意 ブンデスでのデュエル1位は「正直、自分でも驚きましたね」 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/03/13 11:01

W杯への大一番を前に…遠藤航が戸田和幸と語ったボール奪取力の極意 ブンデスでのデュエル1位は「正直、自分でも驚きましたね」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今や日本代表の中盤に不可欠な遠藤航。解説者の戸田和幸氏と奥深いデュエルとボランチ論を話し合った

「僕も戸田さんと同じように、自分が防波堤になって相手にやらせない。ボールを受けたらシンプルに縦に、前に。それは3バックの一角でプレーしているときとそんなに変わらないという意識でプレーしていました」

 所属する湘南ベルマーレ、浦和レッズでは依然として3バックの一角でプレーしていた遠藤が、本格的にボランチへ転身するのは、18年7月にベルギーのシント・トロイデンへ移籍してからだ。そしてシュツットガルトに加入して、ボランチとしてのプレーに対する理解を深めていく。

「影響を与えてくれた指導者は?」と戸田氏が問いかけると、遠藤は2人の指揮官を挙げた。

「今のシュツットガルトの監督(ペルグリノ・マタラッツォ)は僕にすごく影響を与えてくれました。僕が出ていなかった頃のティム・バルター監督も、戦術的にこれというものがあった。ドイツに来てから、その辺りの意識は変わりましたね」

ボールを奪うために、ただ突っ込むのではなく

 遠藤といえば、屈強な選手が揃うドイツ・ブンデスリーガで、デュエル(競り合いでの球際の強さ)勝利数1位になったことが注目された。

「正直、自分でも驚きましたね。守備的MF、ボランチがどういうものなのかを示すチャンスだなと思ったので、デュエルというものを強調したところはあります」

 そこで、戸田氏がさらに深掘りする。ボールを奪うって、ただ相手にぶつかればいいだけではないですよね――と。

「迷ったらまずやってみるということ。チームの助けになるので、ちょっと距離があったとしても奪いにいく。ただ突っ込むのではなく、ちょっとずつ、ちょっとずつ、相手との距離を縮めて、奪えるタイミングがあったらガッと奪う。そういう限定の仕方は、アンカーをやるようになってうまくなったと思います」

 味方を動かすコーチングはシンプルだと言う。

「『行け!』ですね。前の選手が行ってくれると、かなり限定されるので。行かせるタイミング、声を掛けるタイミングは、いいタイミングで言えているのかなと思います。チームのやり方も、ある程度タイミングが決められているので」

 チームの守備の方法があり、仲間のアクションがあり、ボールがここに来るという予測のもと、遠藤のボール奪取力が生かされているというわけだ。

「僕もハセさんの背中を見て学んでいました」

 3つ目のテーマはリーダー論。

 遠藤は小学生の頃から各カテゴリーでキャプテンを任され、プロ入り後も19歳で湘南のキャプテンを務めると、リオ五輪代表、さらにはシュツットガルト、そして先日は不在の吉田に代わって日本代表でもキャプテンマークを巻いた。

 なぜ、キャプテンに指名されることが多いのか――。

【次ページ】 トークライブの最後、戸田から送られたエールとは

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