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「大谷選手という存在はマンガにしづらい」『ダイヤのA』作者に聞く“大谷翔平はフィクションを超えたのか?” 

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byGetty Images

posted2022/03/17 17:00

「大谷選手という存在はマンガにしづらい」『ダイヤのA』作者に聞く“大谷翔平はフィクションを超えたのか?”<Number Web> photograph by Getty Images

今年もメジャーリーグでの活躍が期待される大谷翔平。大谷が「影響を受けた1冊」と公言しているのが人気少年マンガ『ダイヤのA』である

 高校3年時の夏の岩手大会準決勝を振り返ったとき、彼は「160km投げたのが決勝だったらな……」と話していました。というのも準決勝で投げちゃったので、決勝ではものすごく注目されて硬くなったというんです。実際に、決勝で負けてしまいました。

 注目されて硬くなる。そのへんが高校生らしいじゃないですか。準決勝か決勝かという巡り合わせで甲子園に行けないという、運命論的な意味でも面白いなと思いました。

 ぼくなら、そういう未熟さを描きたいですね。注目されて硬くなってしまう、高校生らしい大谷選手を。

 そんな中で今季、ぼくが面白いと思ったシーンは2つあります。

大谷の活躍を見る、チームメイトの感情が気になる

 ひとつは、先発投手で2番を打つ“リアル二刀流”を初めてやった4月4日のホワイトソックス戦。あの試合は1打席目にいきなりホームランを放ち、ピッチャーとしてもすごく調子がよかった。でも5回に突然乱れて、ワイルドピッチやパスボールで3失点。しかもホームでランナーと交錯して、一瞬起き上がれなくなる。

 バッターとしても凄いし、ピッチャーでも凄いぞと興奮していた直後「ケガしないで!」とハラハラさせられる。ドラマチックな展開だし、大谷選手のすべてがつまった試合だなと思いました。

 もうひとつ興味深く観察しているのは、チームメイトとの人間関係です。

 今季のエンゼルスは成績が振るわず、大谷選手のホームラン王争いとふた桁勝利ばかりに注目が集まりました。チームでやっているのに、ひとりの選手ばかりに注目が集まるこの状況は、果たしてチームにどんな影響を与えているのだろうなんて想像してしまいます。

 大谷選手が先発する機会はいわゆるローテーション通りではなく、結構バラバラだったので、ほかの先発投手は振りまわされているんじゃないか。

 刺激を受けつつ、悔しい感情もある。ぼくは高校球児の内面を描くことに重きを置いているので、スーパーヒーローの周囲にいる人の感情はどういうものなのか、つい考えちゃうんですよ。

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