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「大谷選手という存在はマンガにしづらい」『ダイヤのA』作者に聞く“大谷翔平はフィクションを超えたのか?”
posted2022/03/17 17:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
Getty Images
労使交渉で不透明となっていたメジャーリーグがようやく1カ月遅れで始動した。昨年満票でア・リーグMVPを獲得した大谷翔平も春季キャンプ入りしている。そこで、大谷が「影響を受けた1冊」と公言している人気少年漫画『ダイヤのA』作者が大谷の活躍について語った「Sports Graphic Number」掲載のインタビューを特別公開する。
〈初出:2021年11月18日発売号「『ダイヤのA』作者が語る“マンガを超えたヒーロー”」/肩書などはすべて当時〉
「フィクションを超えた」とまで言われる今季の大活躍。それらを本人との対談経験もある寺嶋裕二氏はどのように見ていたのか。大谷選手の登場で変化するであろう今後の野球マンガのキャラクター設定の話に加え、作画面で実際に受けた影響についても明かしてくれた。
〈初出:2021年11月18日発売号「『ダイヤのA』作者が語る“マンガを超えたヒーロー”」/肩書などはすべて当時〉
「フィクションを超えた」とまで言われる今季の大活躍。それらを本人との対談経験もある寺嶋裕二氏はどのように見ていたのか。大谷選手の登場で変化するであろう今後の野球マンガのキャラクター設定の話に加え、作画面で実際に受けた影響についても明かしてくれた。
「週刊少年マガジン」の野球マンガとして歴代最長連載となっている『ダイヤのA(エース)』(寺嶋裕二作)のテーマは高校野球。都内の強豪野球部を舞台に個性豊かなキャラクターたちが、苦悩や葛藤を乗り越えながら成長していく物語だ。
いわゆる“魔球”や完全無欠のヒーローが登場しない同作だが、一方でフライボール革命やスラッターなどメジャーのトレンドを積極的に取り込んでいるのが大きな特徴。リアルな野球マンガとして、プロ野球選手にもファンが多いことで知られている。
◆◆◆
リアルな野球マンガだとよく言われますが、それは地味な練習描写が多く、また実在の選手やシーンを参考にして作画するスタイルが影響しているかもしれませんね。
主人公・沢村栄純らが所属する青道高校にとってのライバル、市大三高の天久光聖投手のフォームはミネソタ・ツインズの前田健太投手をモデルにしていますし、稲城実業高校の左腕、成宮鳴は先日ホークスの監督を退任された工藤公康さんのフォームを参考にしました。
また、取材に行って絵になりそうな練習があれば積極的に取り入れます。それは新しさやトレンドというより、面白くなるかやキャラに合うかで選んでいるんです。
「大谷翔平選手という存在に関してはマンガにしづらい」
ただ、大谷翔平選手という存在に関してはマンガにしづらいですよね。プレー面はもちろんのこと、性格も明るくて素晴らしい。ぼくの場合は高校球児という成長途上の人間を描いているので、大谷選手のようなパーフェクトに近い人をマンガのキャラクターとして描くのは大変です。