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大谷翔平は重度の心臓病と闘う“翔平ちゃん”を抱きしめた「あったかいね」…19日後、寄付金は3億5千万円に到達した

posted2021/11/24 11:01

 
大谷翔平は重度の心臓病と闘う“翔平ちゃん”を抱きしめた「あったかいね」…19日後、寄付金は3億5千万円に到達した<Number Web> photograph by Shizuha & Taishi Kawasaki

2019年1月、心臓移植手術を待つ川崎翔平ちゃん(中央)を励まそうと大阪府内の病院を訪れた大谷。面会の時間は1時間近くに及んだ

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川崎静葉

川崎静葉Shizuha Kawasaki

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Shizuha & Taishi Kawasaki

 大谷はメジャー1年目、新人王を獲得したオフに、同じ名前を持ち、重度の心臓病と闘う「翔平ちゃん」のもとを訪れていた――。翔平ちゃんの母・川崎静葉が当時を振り返った『翔平選手と翔平ちゃん 奇跡のキャッチボール』より、両親がアメリカでの心臓移植を目指し、「しょうへいくんを救う会」として3億5000万円という募金額を集める中で実現した大谷選手との”キャッチボール”の章を紹介する。(全2回の後編/前編から読む)

 静葉さんは“優しいお兄さん”という印象を受けたと語るが、その場にいた人々も同じような感慨を抱いていたという。

 ベルリンハート(編集部注:小児用補助人工心臓のこと)に不調が生じないか、チェックするために同席していた坂口平馬先生は、こう振り返る。

「一流選手ですし、どこかツンとしたところもあるんじゃないかと初めは思っていたんです。あいさつして、頭をなでてくれるぐらいかな、と。

 でも実際は、本当に自然体で飾りけのない様子で翔平ちゃんに声をかけてくれたり、さわってくれたり、でした。

 “隣の高校から来ました”、ぐらいの気軽な雰囲気でしたね。野球選手としての素晴らしさと、人柄のふつうさのギャップで、その日から私もすっかり大谷選手のファンになってしまいました」

◆◆◆

 うれしかったのは翔平に優しく接してくださったことだけではありませんでした。息子の病気のことを理解しようとしてくださっている、その気持ちが私たちの心を打ちました。

「よかったら、抱っこをしてくれませんか」

「この装置はなんのためのものですか?」

「点滴にはどんな薬が入っているのですか?」

「手術のためにアメリカの病院に行かれるのですか?」

「ご両親は毎日病院で付き添っていらっしゃるんですか? そうですか、うーん、大変ですね」

 おそらくホームページなどで、翔平の病気についても調べてからお見舞いに来てくださったのだと思います。そこまでして、私たち家族のことを気遣ってくださったのがうれしくて……。

 ついに意を決してお願いしてみました。

「よかったら、抱っこをしてくれませんか」と――。

【次ページ】 大谷選手との対面が本人の生きる活力になる

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