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父は甲子園28勝の名将…センバツ最年少・浦和学院監督(31)が見直した“野球界のあたりまえ”「朝練より睡眠時間を優先」

posted2022/03/18 06:00

 
父は甲子園28勝の名将…センバツ最年少・浦和学院監督(31)が見直した“野球界のあたりまえ”「朝練より睡眠時間を優先」<Number Web> photograph by L)KYODO、R)Yuki Kashimoto

父・森士氏からバトンを受け継ぎ、センバツ初采配を振る森大監督。監督&部長がともに31歳コンビという浦和学院は開幕戦でどんな野球を見せるのか?

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樫本ゆき

樫本ゆきYuki Kahimoto

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L)KYODO、R)Yuki Kashimoto

昨夏勇退した父・森士(おさむ)氏からバトンを受け継ぎ、監督としてセンバツ初采配を振るのは浦和学院・森大(だい)監督だ。甲子園22回出場、センバツ優勝1回の父を「尊敬する人」と公言し、新しい手法で浦学の伝統を構築しようとしている。偶然にも父と同じく「就任1年目で甲子園出場」を果たした幸運を、どんな形で開花させるのか。(全2回の前編/後編へ)

 1990年生まれ、31歳は今大会の出場監督の中で最年少となる。

「國學院久我山の尾崎(直輝)監督さんもそうですよね」

 すでにインプット済み、と言いたげな顔で浦和学院・森大監督は「最年少」という響きをうれしそうに話した。そこに気負いや虞(おそれ)は感じられない。

「でもまさかウチが開幕戦だなんて、びっくりです。選手たちにとっては、こんな素晴らしい舞台はないですよね」

 甲子園に初出場する高校球児のような、高揚感あふれる顔で続けた。選手で2度、コーチ、部長として1度ずつ、計4度も夏の甲子園に行っている。初々しさの中に冷静さが垣間見えるのは、聖地の良さも、怖さも、そこでしか味わえない価値もすべてを体感してきたからだろう。

「僕自身も楽しみで仕方がないんです。このチームは強くはないですが、秋から急成長した選手もいて頼もしいですよ。最終目標は夏の頂点ですが、もちろん日本一を狙います」

 視界にあるのは、前監督時代に2年生エース小島和哉(ロッテ)を擁して達成した、2013年春以来の優勝だ。

森監督が語る父のカリスマ性

 森監督は選手時代、背番号2ケタの控え投手として高2、3の夏に甲子園出場している。高3夏は08年の記念大会。「親子鷹」で注目された。卒業後、早稲田大に進み大学全日本選手権で優勝。三菱自動車倉敷オーシャンズでプレーし、25歳で引退。16年に母校に戻り、野球部コーチをしながら筑波大大学院で1年、早稲田大大学院で2年スポーツバイオメカニズムや心理学を学んだ。この時の研究については後編で触れるとして、21年夏に部長として甲子園出場。勝利を飾ることはできなかったが、前監督最後の甲子園で13年ぶりの“親子ベンチ入り”を果たした。

 尊敬する人物を聞かれると、迷わず「父」と答える。

【次ページ】 監督&部長が持つ“サラリーマン経験”

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