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「8時前には練習場に来い」「このままだと下のカテゴリーに行くぞ」神戸・三浦淳寛監督が若手選手に“厳しい言葉”をかける理由 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakashi Shimizu

posted2022/03/05 11:01

「8時前には練習場に来い」「このままだと下のカテゴリーに行くぞ」神戸・三浦淳寛監督が若手選手に“厳しい言葉”をかける理由<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

2006年、キャプテンとしてヴィッセル神戸をJ1昇格に導いた三浦淳宏(現:三浦淳寛監督)。自身の現役時代の経験を踏まえて、若手選手への期待を語った

――若手とそこまで向き合おうとするのは、ご自身に「もっとやっていれば」という後悔があるからですか?

 いや、そうじゃないんですよ。僕は現役時代、とにかく「やれることはすべてやろう」というタイプでした。ただチーム練習後に筋トレをやっていると、ほかの選手も僕の姿を見て筋トレを始めるんです。「このままじゃ、周りも同じように伸びるぞ」という危機感が生まれ、自宅に筋トレ器具を用意して、帰宅してからやっていました(笑)。自分だけが伸びたいという気持ちが強かったんですよ。今思うと、チーム全体を見る余裕がなかったんですね。

――いわゆる“コソ練”(隠れて練習すること)ですね(笑)。

 はい(笑)。高校時代から“コソ練”が大好きだったんですよ。

――だからこそ、自分を追い込めない若手がいると「もったいないな」と思ってしまう。

 選手がどれくらい化けるのか、大きな可能性を感じるからこそ、「今のままじゃもったいないだろう」と思うのは自然なこと。だから、自分が感じていることをはっきり伝えようと思っています。

「強いチームの雰囲気」になったヴィッセル神戸

――監督になって1年半ですが、監督という仕事の理想と現実にギャップはありますか?

 順調だと思います。S級ライセンスを取得するときに思い描いていたのは、選手たちが「早く練習に行きたい」「今日はここを成長させたい」と強く思える環境を作りたいということ。僕自身の現役時代を振り返ってみても、そんなふうに思えるチームは強かった。今はキャンプ中(取材は2月3日に実施)ですが、選手たちは朝早くにグラウンドへ来て、自分の課題と向き合っている。その後にチーム練習に入るんです。そういう意識を若い選手もベテランも全員が持っている。まさに僕がイメージする「強いチームの雰囲気」なんです。

――そんな雰囲気を作るために大切にしていることは?

 大事なのは、日々の取り組みや選手との信頼関係だと思います。すごくいい素材であっても、その選手を活かすのは簡単なことじゃない。ピッチ上で特長を発揮させるためのアプローチの仕方は、選手それぞれに異なります。性格も違えば、響く言葉も違う。そういう個々人へのアプローチとは別に、チーム全体に対しては「練習をすごく大事にしている。練習をしっかり見ている」というメッセージを常に送っています。

――ご自身の“監督としての哲学”をひと言で表現するなら。

 やっぱり勝つことが一番です。Jリーグはハイレベルで難しいリーグなので、生半可な気持ちじゃ優勝できない。昨シーズン、選手たちがいろんなトライをしてくれて、ようやく3位になれた。そこからさらに上へ行くためには、昨年以上のベースを作らないとやっていけない。プロにもいろんな考え方があると思いますが、僕は勝たないと意味がないと考えているので、結果を出すためにあらゆる面を向上させていきたいですね。<前編から続く>

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「三木谷会長の選択を間違いには絶対したくない」三浦淳寛の背中を押した言葉とは? 指揮官がいま明かす“ヴィッセル神戸を率いる覚悟”

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