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ジュリア率いるドンナ・デル・モンドは「女子プロレス版ロス・インゴ」なのか? ギラギラ感満載の“世界の女たち”が踏み込む刺激の坩堝
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/02/05 17:00
ドンナ・デル・モンドの集合ショット。(前列左より)朱里、なつぽい、ジュリア、(後列左より)ひめか、MIRAI、テクラ、舞華
それは、DDMは互いに刺激し合い、競争してそれぞれが強くなっていくことが特徴のユニットである、ということだった。直近ではMIRAIがそうであったように、その方向性はユニットが軌道に乗った今も決してブレていない。
超人気ユニット・LIJとの共通点とは?
似たような方向性のユニットとして真っ先に浮かぶのは、現在の日本プロレス界で最も人気があるユニット、新日本プロレスのロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(以下LIJ)だ。
LIJのリーダーである内藤哲也は「ユニット内で競い合って、みんなでレベルアップしていってこそ、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンは上がっていく」「みんなが同じ方向を向きながら、仲間内で競争意識があるので、各メンバーがそれぞれ、お客様に支持されている」(Number Web 2018年7月17日掲載)と語っている。
絶対君主と取り巻き、という明確な力関係で成り立っているものではなく、世代交代のような、わかりやすいゴールがある目的のために集まったものでもない。
並列な関係で、大切な仲間であると同時に最大の敵。誰も現状に満足しておらず、全員が主役の座を狙い続けている。そういうところで両者は似ている。
DDMは2020年の1月に発足後、同6月にひめかが、10月にはなつぽいが加入。2021年は5人体制で戦い抜き、その様子もまたLIJと似ている印象を強くさせた。
内藤は「ヘタに増やしてしまうと、各自がいろんな方向に向いてしまい、力が分散されてしまう」とし、「だから僕は、あまり人数を増やしたくない」とも語っていた。
ところが、ここにきてジュリアは増員に踏み切った。より強い刺激を与え合って、ますます強くなり、存在感を増すために。
発足時のコメントにあったように、ジュリアは自身をボスという意味でのリーダーとは位置づけていないが、ユニットを導く、リードする、という意味においては間違いなくリーダーだ。ジュリアが先陣を切って内外に刺激を与え、「相手のリミッターを外し、今以上の力を引き出し、そのうえで私がそれ以上に輝く」と語る朱里とともに高い壁となってきたからこそ、現在の好循環に入ることができたのは間違いない。
2020年1月のユニット発足から間もない2月8日にオリジナルメンバーで6人タッグ王座(アーティスト・オブ・スターダム)を手に入れると、3月にはジュリアがシンデレラトーナメントで優勝。結果でユニットの価値を示す創設者に引っ張られるかのように、その年のうちに舞華がフューチャー・オブ・スターダム王座、朱里がSWA世界王座、とシングルのタイトルをそれぞれ獲得した。