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ジュリア率いるドンナ・デル・モンドは「女子プロレス版ロス・インゴ」なのか? ギラギラ感満載の“世界の女たち”が踏み込む刺激の坩堝 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2022/02/05 17:00

ジュリア率いるドンナ・デル・モンドは「女子プロレス版ロス・インゴ」なのか? ギラギラ感満載の“世界の女たち”が踏み込む刺激の坩堝<Number Web> photograph by Masashi Hara

ドンナ・デル・モンドの集合ショット。(前列左より)朱里、なつぽい、ジュリア、(後列左より)ひめか、MIRAI、テクラ、舞華

馴れ合いとは無縁の“世界の女たち”

 簡単に振り返ってみるだけでも、DDMというユニットがどう存在感を増していったかは明白だ。

 もちろん、DDMとLIJは違う。メンバーの試合で刺激を受けて高めた力を同門対決でぶつけることへの積極性はDDMの方がはるかに強く、必ず他のメンバーの試合のセコンドにつくところや、クレイジーブルーム、舞ひめぽい、アリカバなど、タッグチームに名前がついているところも異なる。そして、違いの最たるものは、生え抜きの選手が不在のユニットであるということだろう。

 外から来たジュリアが創ったDDMは日本語で「世界の女たち」という意味だ。自分たちを「世界に弾ける女たち」と称するが、それだけではなく、世界の女たち、というのは様々な意味を含んでいる。

 しかし、そんなことは関係なく、ファンは今の彼女たちを支持している。

 支持されている最大の理由は、より強い姿を目指す姿勢が試合から伝わってくるからだ。リングの上での姿で魅了するのに、生え抜きも外敵も関係ない。MIRAIが朱里を相手に敗れたにもかかわらずファンからの関心を一気に高めたように、試合そのもので心を掴み、それから各選手の魅力で自分たちの世界に惹きずり込んでみせる。

 結果としてDDMには、負ける姿が簡単に想像できてしまう選手は1人もいない。

 プロ野球の名将、野村克也氏は「組織はリーダーの力量以上には伸びない」という言葉を残している。

 リーダーのジュリアは、率先して刺激を与えながら、より大きくなって返ってくる刺激を受けて強くなっている。リーダーの力量が伸び続けていくのならば、組織も強くなり続ける。あるいは、一強体制でのリーダーを置いていないという見方をするならば、それは天井知らずの状況を生む、とも言える。また、自分こそが主役だ、という姿勢をボスとしてのリーダーの自覚と捉えるならば、この場合もやはりリーダーの力量が伸び続けていくのだから天井知らずだ。

 どこまで強くなってしまうのか、という意味で制御不能なDDMは、スターダムの勢いの中心にいる。

 朱里と赤いベルトを賭けて頂上対決を行うことが決まった翌日、ジュリアは朱里や他のメンバーと共に配信してきたアリカバライブを一旦終わりにすると表明。

 発足時に「ユニットでやる時は手を貸しますけど、馴れ合いはありません」と語っていた通り、決戦に向けてしっかりと線を引いた。

 DDMの強さを引き上げながら強くなり続けてきた両者の戦いは、DDMにこれまでで最大の刺激をもたらすだろう。そして、プロミネンスとの激突も、当然これまでとは比べ物にならない刺激をもたらすことになる。刺激のオーバードーズに自ら踏み込んでゆくジュリア、そしてDDMは、果たしてどこまで進化していくのだろうか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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