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4大会連続出場へ…長友佑都が語っていた“逆境のサッカー日本代表”「批判と称賛の大きさが自分の価値なんだ」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byGetty Images

posted2022/02/01 11:06

4大会連続出場へ…長友佑都が語っていた“逆境のサッカー日本代表”「批判と称賛の大きさが自分の価値なんだ」<Number Web> photograph by Getty Images

昨年11年ぶりに古巣・FC東京に戻った長友佑都。W杯4大会連続出場への想いを語った

「いい守備から(ボールを奪って)ポゼッションをする、つなぐっていうときに疲弊して取るべきポジショニングができなかったり、お互いの距離感が悪かったりしてボールを失い、また走らされてしまうという展開が少なくなかった」

 競り合いを落とし、3戦終わって2敗という現実は、過去3度アジア最終予選を戦ってきたベテランとしては受け入れられるものではなかった。だが経験値の少ないチームメイトがショックを受けるなか、自分も同じテンションになってしまってはこのチームに自分がいる意味などない。日本に戻ってのオーストラリア戦は中4日。重い空気を打ち破るべく、ハッパを掛けていくしかなかった。

 試合後、大渋滞に巻き込まれて宿舎に深夜0時近くに到着し、帰り支度を済ませてから空港に向かったという。疲労を軽減できるようにとドーハ経由のチャーター便で移動できたとはいえ、追い詰められた状態での移動は心身ともに重くのし掛かる。それでもサウジアラビア戦での課題を自分のなかで整理し、やれるだけのリカバリーを済ませたうえで強引に気持ちを切り替えた。

6人が集まった“青空会議”で話したこと

 帰国翌日のトレーニングを終えた後、自然発生的に選手がピッチ上に集まった。長友、吉田、酒井宏樹、遠藤航、南野拓実、冨安健洋の6人。コロナ禍により宿舎では集まれないため、ここで修正すべき点について共有と修正の話し合いを持ちたいと考えていた。

“青空会議”の内容をこう明かす。

「もちろん攻撃と守備の両方で話をしました。割合としては攻撃のほうが多かった。ディフェンスラインから組み立てるとき、(ポジションの)ズレとかチェンジとかなくボールを回そうとしていたので相手のプレッシャーが掛かりやすかった。僕のことで言えば、高い位置を取ってそのスペースに誰かが入るとか、ポジショニングを変えて、相手を戸惑わせるとか、プレッシャーを掛けづらくしていこうというのはみんなで話をしました」

 従来の4-2-3-1から中盤にアンカーを置く4-3-3へのフォーメーション変更も前向きに受け入れた。

 青空会議やその後の全体ミーティングでやるべきことの共有もできた。ただ、コンディション面に目を移せば、時差ボケで眠れないことは少々ネックだった。

「時差はいつも慣れない(笑)。日本に戻ってからは平均4時間くらいしか眠れていないですね。試合当日も確か午前3時まで目が覚めていた。でも、それでナーバスにはなっていないですよ。体も脳も固まってしまうので良くない。だから僕の場合“別に寝なくてもいいや”くらいで受け入れる。そうやればたとえ同じ4時間の睡眠でも体や脳が違ってくるのを知っていますから」

【次ページ】 批判が大きければ大きいほど、称賛も大きくなる

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