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4大会連続出場へ…長友佑都が語っていた“逆境のサッカー日本代表”「批判と称賛の大きさが自分の価値なんだ」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byGetty Images

posted2022/02/01 11:06

4大会連続出場へ…長友佑都が語っていた“逆境のサッカー日本代表”「批判と称賛の大きさが自分の価値なんだ」<Number Web> photograph by Getty Images

昨年11年ぶりに古巣・FC東京に戻った長友佑都。W杯4大会連続出場への想いを語った

 結果は終盤にゴールを奪われ、誰もが予想しなかったまさかの敗戦。全体的に動きが重く、FIFAランクで50以上も離れている相手に押されっ放しだった。吉田麻也キャプテンの「負けるべくして負けた」とのコメントが、何よりも深刻さを物語っていた。

 相手をナメたつもりは毛頭ない。だが長友はもう一度、最終予選そのものと向き合わなきゃいけないと感じた。

「自分も含めてなんですけど、ワールドカップに行けるだろうって心のどこかで思っていたのかな、と。僕もチームも、雰囲気的にやっぱり危機感が薄かったなって思ったんです。だからそこはしっかりと持たなきゃいけない。ただ経験上、クヨクヨしたり、ネガティブになったりすることが一番良くない。もう一回前を向いて自分たちがやるべきことをやっていこうというのは僕のほうからもみんなに伝えました」

11年ぶりに古巣・FC東京復帰を決断

 ドーハで開催された中国戦に勝利した後、彼は大きな決断を下す。欧州継続挑戦の選択肢もあるなか、オファーが届いていたFC東京へ11年ぶりとなる復帰を決めた。

「僕にとって大好きな、思い入れのあるクラブでもあるので、決断する際はここで勝ちたい、ここでタイトルを獲りたいという気持ちが自然と心の底から溢れ出てきた。そして9月に代表戦をやって、最終予選の試合が10、11月と続いていくなかで早くチームを決めなきゃいけないところもありました」

 国内復帰は決して安易な選択などではない。欧州でのプレー期間が長ければ長いほど、再順応は難しくなる。

 たとえば欧州の土は柔らかく、日本の土は硬い。欧州では取り替え式のスパイクを使用してきたものの、日本だと「かかとが痛くなった」ため固定式にチェンジした。こういった差異の調整を図りつつ、フル出場を続けた。

 立ち止まる時間などない。前に向かうしかない。かくして「国内組」としてサウジアラビア、オーストラリア戦のメンバーにも選ばれる。

競り合いを落とし、3戦終わって2敗という現実

 10月7日、ジッダにあるキング・アブドゥラ・スポーツシティのピッチに立っていた。ナイターの試合ながら、予想以上の高温多湿がチームの足を止めていた。後半なかばになるとそれが顕著になっていく。

「全員でしっかりと守備ができていて、やられる感じもあまりしなかった。(試合内容自体は)そう悪くなかったと思います。ただ、蒸し風呂でサッカーをやっているような感覚。これは僕だけじゃなくてみんなも言っていたのですが、暑くてしんどかったというのはありました」

 チームメイトのパスミスをかっさらわれて先制を許すと、反撃に転じなければならないのにそれができない。メンタルに、フィジカルが追いついていかない。

【次ページ】 6人が集まった“青空会議”で話したこと

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