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バドミントン男子ダブルス初の日本人世界王者が誕生! 東京五輪に落選も“ホキコバ” 保木卓朗&小林優吾が見せた3つの進化とは

posted2022/01/15 17:00

 
バドミントン男子ダブルス初の日本人世界王者が誕生! 東京五輪に落選も“ホキコバ” 保木卓朗&小林優吾が見せた3つの進化とは<Number Web> photograph by Getty Images

バドミントン男子ダブルスで日本人として初の世界一に輝いた“ホキコバ”。東京五輪からわずか半年で急成長できた理由とは?

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平野貴也

平野貴也Takaya Hirano

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初めてペアを組んだのは中学1年生の時

 バドミントン男子ダブルスで初の日本人世界王者が誕生した。

 2021年12月、スペインで行われた世界選手権で、保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)が初優勝。日本勢の同種目優勝は初めてだ。

 富岡中・高(福島)の同期で、ともに26歳。初めてペアを組んだのは中学1年生の時。高校3年のインターハイで日本一に輝き、社会人になってもペアを継続している。2020年には保木が2月、小林が5月に結婚。ともに第1子に恵まれ、新米パパとしても奮闘中だ。

 遠征中は2人とも家族とのテレビ電話を楽しみにしている。保木が「帰国して隔離期間が終わったら小林の家族と一緒に食事に行きたい」と話すなど、仲も良い。バドミントンファンに「ホキコバ」の愛称で知られる2人は2019年の世界選手権で銀メダルを獲得したが、その後の成績が安定せず、日本勢3番手で東京五輪の出場権は得られなかった。

 その彼らが、なぜ半年の間に世界王者の座まで上り詰めることができたのか。帰国後に行ったインタビューを通じて見えたのは、2019年に元マレーシア代表のタン・キムハーコーチが日本代表チームの男子ダブルスを指導するようになってからの3つの進化だった。

右・左ペアの特長を生かしたローテーション

 1つ目の進化は、右・左ペアの特長理解だった。機動力と展開力に富む前衛の保木は、右利き。切れ味鋭い強打を武器とする後衛の小林は、左利き。2人とも「何となく、やりやすいとは思っていた」と言うが、それまでは右・左の組み合わせを最大限に生かす戦い方を知らなかった。タンコーチは、まず、ローテーションをシステム化した。保木の言葉を借りて説明すると、以下のようになる。

「極端に言えば、僕が右前方を意識してフォアハンド。自分の頭を越える球でもコートの右側だったら、自分が下がって対応しますが、左側に来た球は前方でも小林に任せます。僕が後方から前に出るときは、右側に来る球をつぶしながら前に出る。そうすると、ローテーションは、僕がコートの右側、小林がコートの左側で前後するだけ。左利きの小林が前に出たときは、右側からは下がらない」

 コートの両端を2人の利き腕(フォアハンド)でカバーし、中央はそのとき状態の良い方が反応してカバー。すべてがこのパターンで対応できるわけではないが、パートナーの動きが読みやすくなり、配球面でもこのローテーションで対応できるように球出しをすることで、スムーズに攻撃に移れるようになった。

【次ページ】 多くの副産物を生んだ小林のレシーブ強化

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