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バドミントン男子ダブルス初の日本人世界王者が誕生! 東京五輪に落選も“ホキコバ” 保木卓朗&小林優吾が見せた3つの進化とは
text by
平野貴也Takaya Hirano
photograph byGetty Images
posted2022/01/15 17:00
バドミントン男子ダブルスで日本人として初の世界一に輝いた“ホキコバ”。東京五輪からわずか半年で急成長できた理由とは?
「その顔を試合中に1回も出すな」
3つ目として見逃せないのが、メンタルの進化だ。
保木は「タンさんからは、相手を見下すくらいでいい。もっと自信を持てと言われる」と明かした。このメンタル指導は、特にナイーブな一面を持つ小林には大きかった。
「僕は、すぐ自信がなくなるタイプ。練習でも試合でもミスをするとガッカリした表情をしていました。でも、タンさんから『その顔を試合中に1回も出すな。クールに振る舞え』と言われました。それで表情に出さないようにしてみたら、試合中の自信の持ち方が全然違ってきました。以前は目先の1点で一喜一憂していたけれど、今は、互角に競り合った場面で失点しても落ち込まず、次のラリーのことを考え、次はこういうパターンで自分が得点するとイメージできるようになった。失点をしても取り返せる安心感のようなものがあります。メンタル面が、だいぶ変わったと思います」(小林)
「桃田先輩のように勝ち続けたい」
進化が成果を呼び、成果が自信を生み出していく。
東京五輪後、最初の大会は団体戦だった。東京五輪に出場した2ペアのうち3人が代表を引退したため、急きょ日本男子ダブルスのエースとなった2人だったが、東京五輪の銅メダリストに1勝1敗と互角の戦いを見せるなど、物怖じせずに役割を果たした。
個人戦でも、6大会で優勝4回、準優勝1回。BWFワールドツアーファイナルズ、世界選手権というビッグタイトルも獲得する文句なしの成績だ。コロナ禍、五輪直後という2つの要素から、大きな大会でも強豪選手が全員は揃わない状況とはいえ、保木/小林は世界ランク1位に2勝1敗、2位に2勝と強敵相手にも結果を残した。
世界ランクを4位にまで上げた2人が掲げた2022年の目標は、世界ランク1位到達と、夏に東京で開催される世界選手権の連覇で、小林は「桃田(賢斗)先輩のように勝ち続けたい」と語る。
進化が止まらない日本の新エース「ホキコバ」は、2024年パリ五輪の金メダルを狙い、さらなる飛躍を目指す。