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何が駒澤大の駅伝を狂わせたのか?「3つの区間で二桁をやっていたら勝てないですね」《青学大が10分以上の大差で箱根駅伝優勝》 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/01/03 21:35

何が駒澤大の駅伝を狂わせたのか?「3つの区間で二桁をやっていたら勝てないですね」《青学大が10分以上の大差で箱根駅伝優勝》<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

箱根駅伝の連覇を目指した駒澤大学だったが、相次ぐ故障者による区間配置に苦しみ、総合3位に終わった

 佃は、4年生の意地を見せ、区間6位の走りで3位から2位に順位を押し上げた。青学大とのタイム差を3分18秒に短縮した攻めの姿勢は、後続の選手たちのやる気を掻き立てた。7区の白鳥も一時は順大の西澤侑真(3年)に並ばれるも区間10位の走りで、なんとか粘って2位を死守した。そして、8区は、田澤、唐澤拓海(2年)とともに3本柱のひとりである鈴木が出走した。勝負どころでの走りに期待は膨らんだ。

 序盤は、いいペースで順大の津田将希(4年)と並走していたが、12.3キロ過ぎから徐々に離されていった。走りにいつも鈴木らしい力強さがなく、ペースが上がらない。後半に失速し、区間18位。ゴールした後、右の足を押さえて倒れ伏した。

「疲労骨折が治ったと思ったんですけど、また同じところをやった可能性が高いです」

 大八木監督は、表情を曇らせて、そう言った。

 鈴木は故障から復帰して1カ月半程度。いくら10000メートルを27分台で走る力があるにしても、やはり元の走りを取り戻すのにはそれなりの時間が必要になる。それでも箱根駅伝の16名のエントリ―されたのは、怪我が治り、調整練習などで最低限走れる見込みがついたからだった。

 だが、8区途中で足は思うように動かなくなってしまった。

「芽吹は、練習は完璧にできていませんでしたけど、もう治ったと思っていましたし、実際に調整の時にはある程度できていたんです。20キロぐらいなら自分の力で持っていけるかなって思って赤星(雄斗・2年)と代えたんですけど、やっぱりレースは違いますね。10キロぐらいまでで目一杯でした。そのあと、津田くんにすっと上がられて対応しきれなかったのと同時に15キロ過ぎに痛みが出たようで……」

 故障上がりの鈴木を使わざるをえなかった。使いたかった選手を使えなかった。

 駅伝ではよくあることだが、今回の駒澤大はそれがストレートに結果に影響してしまった。それが連覇のチャンスを逸し、青学大をラクに優勝させてしまった要因のひとつだろう。

「鈴木は、故障が治ったら大丈夫かなって思ったんですが‥‥私の判断ミスでもあったかなと思います」

 大八木監督は、沈んだ声で、そう言った。

「3つの区間で二桁(順位)をやっていたら勝てないですね」

 今回、3区に配置されていた佐藤条二(1年)は心肺機能の低下などで調子を落とし、走れない状態だった。そのために当初4区に考えていた安原を3区に回し、4区に花尾を入れた。

【次ページ】 田澤が最上級生になる来年に「王座奪還」へ

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