箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
何が駒澤大の駅伝を狂わせたのか?「3つの区間で二桁をやっていたら勝てないですね」《青学大が10分以上の大差で箱根駅伝優勝》
posted2022/01/03 21:35
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Nanae Suzuki
青山学院大の往路・復路制覇の完全優勝で終わった今回の箱根駅伝。
大エースの田澤廉(3年)を擁し、連覇を狙った駒澤大は3位に終わった。最低限の目標は達成したが、2強と言われた青学大に10分以上の大差をつけられての敗戦だった。
いったい何がここまで駒澤大の駅伝を狂わせたのだろうか。
「故障者が多かった。その故障者を使わざるをえなかったということがうちの誤算でした」
レース後、大八木弘明監督は厳しい表情でそう言った。
3本柱の一人・鈴木芽吹は箱根駅伝に間に合うのか?
往路は、まさかの展開が続いた。
当日の区間変更で自信をもって送り出した3区安原太陽(2年)と4区花尾恭輔(2年)が機能せず、5区終了時点でトップの青学大に3分28秒もの差をつけられた。
「非常に厳しいですが、なんとか9区までに追いつくことができれば……」
往路が終わった後、大八木監督はそう語ったが、それを実現すべく復路で大胆な手を打ち、昨年のような大逆転劇への機運を高めた。とりわけ注目されたのは、8区に投入されたエース格の鈴木芽吹(2年)だった。9月に右足大腿部の疲労骨折が見つかり、出雲駅伝と全日本大学駅伝を回避、11月に練習に戻ってきていた。
果たして、鈴木は箱根に間に合うのか――。
その動向が注目されていたが、無事に箱根駅伝のエントリ―メンバーに名を連ねた。だが、区間エントリ―では補欠登録だった。
鈴木は、いったいどの区間に出てくるのか。各チームは、相当の警戒をしていた。
大八木監督は、その鈴木を8区に置き、6区に佃康平(4年)、7区に白鳥哲汰(2年)、10区に青柿響(2年)を入れて、5区間中4区間で選手を入れ替え、攻めのオーダーを完成させた。指揮官としては、座して死ぬのを待つよりも青学大を倒す可能性をマックスに考え、“史上最強の2年生”と呼ばれる彼らの力に賭けたのだ。それは、一か八かの出たとこ勝負ではなく、今年1年間の彼らの取り組みを理解し、直前のコンディションを判断した上での大胆な采配だった。
7区まではなんとか2位を死守していたが…
6区は、最高のスタートを切ることができた。