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格闘技PRESSBACK NUMBER
視聴率43%で紅白超え…格闘技バブルの象徴「サップvs曙」を撮らなかったリングサイドカメラマンが“大晦日の名勝負”を振り返る
posted2021/12/31 11:04
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
大晦日に格闘技の大会が開催されるようになり、かれこれ20年以上になる。格闘技はいまや日本の年末の風物詩となり、NHK紅白歌合戦と同様にお茶の間で観戦する人も多い。2003年には瞬間的に紅白歌合戦の視聴率を超えたこともある。また、TBS、フジテレビ、日本テレビの民放3局が、同時に格闘技を放映したこともあった。
私は2001年から今年の大晦日まで、リングサイドで撮影を続けている。会場で新年を迎えることもしばしばあり、自宅で除夜の鐘を聞けた年は、どこか得したような気分になるものだ。
空前の格闘技バブルに沸いた2000年代前半
大晦日に格闘技イベントが始まったのは2000年、大阪ドームでの『INOKI BOM-BA-YE(以下、猪木祭り)』からだ。2001年からは、さいたまスーパーアリーナに会場を移して開催。ちなみにさいたまスーパーアリーナは、2001年から2012年までの間、連続で大晦日の試合会場として使用された。2013年は使用されなかったが、2014年からはふたたび毎年イベントが行われ、今年の年末の『RIZIN.33』も同所で行われる。格闘技のファンや関係者にとって、大晦日はさいたまスーパーアリーナで過ごすことが、毎年恒例の行事となっている。
2001年の『猪木祭り』は、K-1軍と猪木軍の対抗戦が7試合ラインナップされた。第4試合まで引き分けが続き、1勝1敗で迎えた大将戦は、安田忠夫とジェロム・レ・バンナの試合。安田は下馬評を覆し、前腕のチョークで逆転勝利。大相撲出身の安田にとっては、まさに大金星だった。勝利後、別居中の愛娘をリングに上げて肩車をする。喜びを爆発させている安田とは対照的に、はにかみながらも誇らしげな娘さんの表情が印象的だった。
2002年『猪木祭り』では、猪木軍とK-1とPRIDEによる三つ巴の闘いが繰り広げられた。メインではボブ・サップが高山善廣と対戦。高山は同年6月の『PRIDE.21』で、ドン・フライとPRIDE史上に残る死闘を繰り広げた。彼はプロレスラーだが、MMAでも一目置かれる存在になっていた。試合はスーパーヘビー級らしい、ゴツゴツとした迫力満点の試合で、試合後の高山の腫れあがった顔面が痛々しかった。