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視聴率43%で紅白超え…格闘技バブルの象徴「サップvs曙」を撮らなかったリングサイドカメラマンが“大晦日の名勝負”を振り返る 

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2021/12/31 11:04

視聴率43%で紅白超え…格闘技バブルの象徴「サップvs曙」を撮らなかったリングサイドカメラマンが“大晦日の名勝負”を振り返る<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

2015年のRIZIN旗揚げ興行で、12年ぶりに再戦した曙とボブ・サップ。筆者は12年前の大晦日、同日に開催された『PRIDE 男祭り 2003』を撮影していた

 2003年、ついに民放3局で大晦日の試合が放送された。まさに格闘技バブルの頂点であった。日本テレビは『猪木祭り 2003』、フジテレビでは『PRIDE 男祭り 2003』 、2001年から大晦日に格闘技を放映しているTBSは『K-1 PREMIUM 2003 Dynamite!!(以下、ダイナマイトと表記)』をそれぞれ放映した。視聴率の結果は、ボブ・サップと元横綱の曙の試合をメインにしたTBSが圧勝。瞬間視聴率は最高で43.0%を記録し、NHKの紅白歌合戦の視聴率を超える快挙を達成した。この記録は未だに破られていない。

なぜ「ボブ・サップvs曙」を撮らなかったのか

 当時の私はK-1のオフィシャルカメラマンで、スタジオ撮影を担当していた。スタジオ撮影は試合の2日前に行われるので、私は12月29日に試合が行われる名古屋で選手の撮影をした。東京へ帰ろうと身支度をしていると「長尾さんはPRIDEに行くのですね」と言われた。お世話になっているK-1には本当に申し訳なかった。しかし、初期のUFCからMMAを撮影している私にとっては、PRIDEの試合に興味があった。また、大会の開催を最初に発表したのもPRIDEだった。この時点では2003年から数年間、K-1とPRIDEが大晦日の興行でしのぎを削ることになろうとは、露も思わなかった。

 2004年『ダイナマイト』は魔裟斗vs山本KID徳郁の日本人対決。私はさいたまスーパーアリーナで『PRIDE 男祭り』を撮影。私が会場へ着くころから雪が降り始めていた。積雪の影響で高速道路は通行止めになり、メインイベントに出場するアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラが入場式に間に合わないハプニングも。急遽、双子の弟のホジェリオが兄の代わりに参加した。二人は体型もほぼ同じで、念のためフードを目深に被り登場したこともあり、関係者を含めて疑う者はいなかった。五味隆典の名言「大晦日に判定? 駄目だよ、KOじゃなきゃ!」など色々なことがあり、私にとっては忘れられない大会のひとつである。

 2005年も、私は『PRIDE 男祭り』を撮影した。ライト級トーナメントの決勝戦として、五味隆典と桜井"マッハ"速人の試合もラインナップ。この二人は階級こそ違うが、修斗の元王者対決だ。五味は遠慮なく桜井の顔面を殴り、鮮やかにKO勝ちした。さらにメインイベントも因縁のカードで、ともに五輪メダリストの吉田秀彦と小川直也の対戦だった。

 吉田は明治大学柔道部時代の2年先輩にあたる小川から、腕ひしぎ十字固めで一本勝ち。敗れた小川がマイクを持ち「なあ、吉田、オレをおぶってくれよ。足、骨折して歩けねえんだよ」「ふがいないオレだけどさ、ハッスルやらせてくれよ!」「今日は転んだけれど、必ず起き上がって見せるからな!」「3、2、1、ハッスル! ハッスル!」など、小川のプロ魂が光った大会だった。

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