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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
朝倉海「人生で初めて好きになったのが格闘技」目標のない普通の地方青年が“RIZINのトップ”にのし上がるまで《独占インタビュー》
posted2021/12/30 17:11
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takashi Shimizu
兄に誘われて格闘技を始め、不良たちによる闘いをコンセプトとした『THE OUTSIDER』から成り上がった。格闘家としてのあり方は、一昔前とはずいぶん違う。
だがそれでも、格闘技を愛し、格闘技界全体を考えるというトップ選手としてのスタンスは普遍的なものだ。兄のこと、SNS時代の格闘家の生き方、そして格闘技への“純真”とも言える思いまで。大晦日決戦を控えた朝倉海に聞いた。(全2回の2回目/前編から続く)。
◆◆◆
――今年の大晦日も兄弟揃っての出場となります。数年前、RIZINで売り出し中だった頃の未来選手と海選手にインタビューしたことがあるんですが、その時に言っていたのは「どちらかが勝つと“朝倉兄弟”として注目されるので名を上げやすい」と。今も兄弟で闘っているという感覚は強いですか。
朝倉 今は兄弟それぞれで強くなってるという感じですけど、気持ちの面では変わってないですね。「兄弟として」という。
――「2人で勝とう」というような。
朝倉 もちろん。それはいつも思ってることですね。自分が勝っても兄貴が負けたら素直に喜べないし、逆もそうだと思います。2人とも勝って、いい大晦日だったなっていうのが理想ですね。
YouTubeを重視する理由
――『THE OUTSIDER』から注目されて、今はRIZINの主役。今年は「RIZINの中心は朝倉兄弟でありたい」という言葉もありました。堀口恭司選手に勝ったことでRIZINを引っ張るという意識が強くなったそうですが、やはりそれまでは「RIZINに乗り込んでのし上がる」という感覚ですか。
朝倉 自分がのし上がるというのもありますし、とにかく自分の試合を盛り上げてやろうと。今はそれにプラスして、みんなが求めている試合を見せたいという意識も強くなりましたね。「格闘技ってこんなに面白いんだよ」というのを試合で体現したいなと。
――RIZINを引っ張る立場として、試合のタイミングや対戦相手によって「ちょっと無理しなきゃいけないな」ということもありましたか?
朝倉 もちろんありました。2週間前に試合が決まったこともありましたし。メインを張れる選手がいないってことで緊急で。そこは「俺がやるしかない」という感覚ですよね。そういうことを求められる立場なんだと。そういう中で、試合を見てもらうまでの過程も大事にするようになりましたね。
――過程というと、たとえばどんなことですか?
朝倉 格闘技を見てもらうためには、格闘技に興味を持ってもらうことから始めなければならないと思うんですよ。どうやったらたくさんの人に格闘技に興味を持ってもらえるかを考えますね。たとえばYouTubeでいろんな方とコラボさせてもらって、入口を増やすとか。