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鈴木誠也の不在、先発4人目…不安要素だらけの佐々岡カープ、Aクラス浮上への4つの課題とは《最重要は中継ぎ》
posted2022/01/03 11:03
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
2022年が幕を開けた。プロ野球選手の正月は2月1日、春季キャンプインと言われるが、新しい1年の始まりに12球団のファンは大きな希望を抱いていることだろう。特に21年シーズンは両リーグとも前年最下位のチームが優勝しただけに、昨年下位に沈んだ球団のファンも夢を膨らませているのではないか。
3年連続Bクラスに終わった広島は、3年目を迎える佐々岡真司監督にとって集大成のシーズンとなる。結果が問われる広島の22年が始まる前に、上位浮上のための4つのポイントに注目してみたい。
まずは明るい材料の多い先発陣は、“4番目の柱”が台頭するかどうかが重要となる。FA権を取得した大瀬良大地と九里亜蓮がともに残留したことは戦力的に非常に大きい。森下暢仁を含めた3本柱は21年にいずれも規定投球回をクリアし、合わせて72試合に先発して66度クオリティスタートを記録した。他球団にも引けを取らない3本柱はチームに安定感を与える存在だろう。
一方で3本柱に頼り切りだった面も否めない。実際、3本柱を欠いた時期に、チームは借金を膨らませた。3投手の存在の大きさをあらためて感じさせただけに、彼らに続く先発の柱ができればより心強い。
筆頭は球団の先発投手では最年長左腕となる床田寛樹だろう。21年は序盤につまずきながらも、再昇格した8月以降は4勝2敗、防御率2.51と安定した。高橋昂也や玉村昇悟と新たな左腕が台頭しているだけに、前年終盤に得た好感触を継続し、先発の柱、左のエースと呼ばれる存在となることが期待される。
栗林までどうつなぐ?
2つ目のポイントは、佐々岡体制の最重要課題といえる“中継ぎの再整備”にある。就任1年目の20年は抑えすら固定できず、2年目の21年は新人栗林良吏の抑え抜擢が見事にハマり、懸案事項は解決。栗林は1年で絶対的な存在に成りあがった。
ただ、抑えにつなぐまでの形はいまだ定まっていない。中継ぎ投手の酷使を避けるため「ローテーション制」を理想としていたが、戦力的にも、陣容的にも固定よりも難しい。21年開幕直後は固定せずに起用していたが徐々に機能しなくなり、起用に偏りがでるようになった。佐々岡監督は21年シーズン終了後「開幕で固定できるのが一番。キャンプからオープン戦にかけて(決めたい)」と、3年目にして勝利の方程式を確立させる方針を固めた。
22年シーズンは延長12回までとなる可能性が高いだけに、中継ぎの力は優勝の鍵を握る。指揮をとった2年間でセットアッパーとして起用した島内颯太郎、塹江敦哉、ケムナ誠、そして新外国人選手の見極め。21年の栗林を抑えに起用したような新人の抜擢など、首脳陣の決断と手腕に注目したい。